山手線・高田馬場のホームから戸山口へと降りる。
通路を左に折れて、線路を潜り抜けていく。
今はなき「夢民」を思い出す道すがら、
「餃子荘 ムロ」という紅く妖しい看板が見つかってなんだか愉しくなる。
でも、今夜のお目当ては其処ではなくて、
角の雑居ビル地階にあるとんかつ「成蔵」への階段なのであります。いざいざとその階段を下りようとすると、 席が整うのを待って、談笑するひと影がある。
間もなく案内いただいた店内は、 右手にオープンな厨房に向かうカウンター、 左手に幾つかのテーブルが配されています。 居抜きの店舗もセンスよく白基調で塗り込めれば、カフェっぽく垢抜けて、 女性客もその居心地に安堵する。 そんな事例のお手本のようだなぁと、 そんなことを考えながらカウンターの隅に腰を降ろします。
檸檬は搾らず、自家製というタルタルを載せて噛り付く。 サクサクとした、なんとも軽妙な衣の、生パン粉の歯触り。
ただ、齧った牡蠣の身は大きさの割にはどれもが不思議なくらい潰れてしまって、 衣と一体感のある美味しさの成果には正直ちょっぴり、不足がある感じ。
そして、素人が思うに、カキフライには、 ある程度一気に包み込むようにして火を通して閉じ込めるプロセスが必要なんじゃないかと、 そんなことをなんとなーく考えたりなんかしてみるのでありました(笑)。
と、そこへ壁の張り紙で気になるお品、数量限定の「白子のフライ」。
別の夜、今度はとんかつをいただいてみたいと同じカウンターの一席に。 基本形が気分ですと「霧降高原豚ロースかつ定食」を所望します。
改めて、ヒマラヤらしきサーモンピンクの岩塩をちょんづけしていただけば、 店主厳選の霧降高原豚の脂が上品な甘さを発揮する。
白っぽい衣の揚げ色でふと思い出したのは、 上野の孤高なる変人(失礼)の城であった、今はなき「平兵衛」のとんかつやカキフライ。 並べて考えるのも憚られつつ、 あの独特なる「平兵衛」の低温じっくり揚げ技法と余熱での火入れを計算した揚げ方には、 もしかしたらどこか通じるものがあるのかも、なんて一瞬考えてしまった。 そう云えば、今流行りの低温調理には、”揚げる”も該当があるのかな。
じっくり人気の高田馬場、気鋭を思うとんかつ「成蔵(なりくら)」。
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「成蔵」 新宿区高田馬場1-32-11 小澤ビル地下1F [Map] 03-6380-3823
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