渋谷警察署方向に歩道橋を渡りながら、 12年04月に商業スペースを開業したという「渋谷ヒカリエ」の外観を見上げます。気になるのは、泡盛と琉球料理の「うりずん」くらいかなぁ(笑)。 お世話になるのは、意外と少なそうな、そんな予感がいたします。
さて、件の「煮干王」がどこにあるかというと、それはつまりは「すずらん」のある裏道。 「すずらん」に行こうとしていた巷のラーメンフリーク達が、 その手前で網に掛かるという、そんな立地であります(笑)。
電球が回りを囲む、クラシックなスタイルの看板越しに見上げるのは、 ずっとずっと屋上にまで続く煙突。煙と香りと匂いと湯気を出す商売には、今や求められてしまうアイテムなのかもしれません。
GLからはちょっと高い場所にある扉を引き開けば、券売機の前。 「煮干王ラーメン」のボタンをポチッとします。
天井を見上げれば、さっきのダクトが赤く塗られた存在感。 壁には、「凪」らしいイラストが描かれてる。青木さんの手になるものなのかなぁ。
チケットを渡すと、麺の硬さ、味の濃さ、油の加減を訊かれます。 まずはすべて、普通、オリジナルでお願いしましょう。
手元へと降ろしたドンブリには、厚目のチャーシューが4枚載っていて、 微塵切りとは違う、独特の形に刻んだ長葱の薬味。右隅に覗いているのは、麺のお刺身的、ワンタンの皮的アイテム。 ゴールデン街で初めて出逢ったことを思い出します。
啜るスープは、なるほどの煮干し醤油スープ。 当然の煮干したっぷしのスープに鶏でコクを添えている。幕板の解説によると、小豆島の杉樽醤油をベースに、 アゴの煮干しや昆布、そして牡蠣を煮出して、熟成させた醤油タレを用いているそう。
立川から電車で運ぶ自家製麺は、 もっちりもりもりつるつるの太めにしてしっかり縮れた個性派。ストレート細麺が似合うストイックな煮干し中華も好みだけれど、 こうしてパワフルな麺も魅力的。 タレや醤油を強くしたり、辛味噌をドンブリの底に潜ませたりするのも、 力強い自家製麺とのバランスを考えてのことなんだね。
素朴系仕立てで「煮干王」を愉しんだらどうかなぁと再び渋谷警察署裏。 ポチッとしたのは、「煮干王ラーメン」ではなくて、「ラーメン」。 麺を硬め、味を薄め、油を少なめでお願いします。 さらに、辛味噌汁をなしとするのもポイントだ。
あれ、これでただの「ラーメン」?って思う具沢山。でも、スープは煮干しの旨味風味の輪郭が引き立って、 こっちの方が断然いい感じ。 後半戦にキレを与えてくれていた辛味噌も、 敢えて外した方が素直に煮干しスープを愉しめる。 お試しあれ。
ゴールデン街の煮干「凪」のDNAをしっかり携えた、 煮干ラーメン「凪 煮干王」渋谷店。ひょっとして「塩ラーメン」もイケるんじゃないかと秘かに次の機会を窺っています(笑)。
食べ終えて渋谷駅への歩道橋を渡ると、 正面に東横線のホームが見えてくる。副都心線と東横線が繋がるとこの光景もいずれ観れなくなってしまうのですね。
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「凪 煮干王」渋谷店 渋谷区渋谷3-7-2 [Map] 03-6427-4558
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