
谷町線で谷町四丁目。
駅を上がったところの建物で所用を済ませれば、
ちょうどおひる時。
向かいにある喫茶店でナポリタンとパフェ、
なんて組み合わせに挑もうかと一瞬思案するも、
それはまた今後と本町通りを御堂筋方向へのんびり歩きます。
消防署の壁に貼られた標語の関西弁ににんまりしながら、
その向かいの雑居ビルの階段を何気に見上げると、
なにやら空席を待つような行列らしきひと影がある。

その脇の行燈には「宝石」の文字。
どうやら、界隈で話題のカレー屋さんのようです。
然らばと、その列の最後尾にぶら下がってみます。
すると、その後ろにもぞくぞくひとが増えてくる。
なかなか人気がありそうだ。
間もなくの正午きっかりに扉を押して、姐さんが顔を出す。

招き入れられ、一巡目の最後にスベリ込みます。
こじんまりとした店内には、4、5席ほどのカウンターに3卓のテーブル。

学生くんらしき男と相席となったテーブルには、
スパイスあれこれを収めた小瓶が並んでいます。
順番に注文をとる姐さんが訊くのは、大盛りか否か。

メニューそのものは、チキン、キーマ、ラムキーマなどが日替わり。
入口脇のプレートに、「本日のカレーは、ポークです」と明示されていました。
店に入った瞬間から既にスパイスの香りに十分包まれていたものが、
カレーのサーブが始まってますます際立ってくる。
鈍い金色縁取るお皿で「ポークカレー」普通盛りがやってきました。
小麦粉を使用しないこともあってか、見た目からもさらさら仕様。

どれどれと動かすスプーンに載ったカレーは、なるほどなスパイシーさ。
ああ、コクを控えると、塩の加減が繊細になってくるのも良くわかる。
それではしゃばしゃばな薄っぺらい味わいかというと決してそんなことはなくて、
大量の材料で摂ったラーメン並みの出汁を使用し、と謳うだけのことはある。

ラーメンスープと違うのは、脂の量を明らかに抑えているから。
あくまで、さらっとして重くないカレーを志向しているのでしょう。
スパイスのよーく沁み込んだポークも、パサつきはせずともジューシーでもなく。

脂部分をそれなりに丁寧に外しているのかもしれません。
そして、額や鼻の頭や首筋に早速汗が浮かぶのは、なかなかに辛いから。

辛さにほんの少し息苦しさを感じたら(笑)、
添えてくれているスクランブルエッグを合いの手に。
玉子の優しさに一瞬和んで、さあもうひと口と相成ります。
綺麗に完食。
ひ〜、辛かった(笑)。
本町通りの小さなカレー専門店「宝石」は、女性店主ひとりで営む。

挽き立てスパイスの香りと精油成分を活かしたカレーには、
きっと様々な創意工夫があるのでしょう。
凝り性にも映る女性店主の創意工夫は、
店の切り回しのそこここにも有効に活かされているようです。
「宝石」
大阪市中央区内本町2-2-14 GSハイム内本町2F [Map]
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