
三軒茶屋で乗り換えて、二両編成の路面電車へ。
何度も利用している世田谷線なのに、
それでもほんのちょっとウキウキしてしまうのは、
テツの素養があるってことでしょか(笑)。
目指す停車場は、松陰神社前。
所用5分の小さな旅です。
そのまま世田谷通りへ向かう商店街を往く。
おお、此処だと立ち止まったのが、青森煮干し中華そば「JIN」の前。
黒を基調に、真朱(まそお)色の暖簾が揺れるファサードだ。
カラカラっと横格子の引き戸を開けて、踏む込む店内も同じ黒基調。
左手のカウンター席へ腰を落ち着けます。

正面の壁には、ねぶたキャラの貼り紙やお持ち帰り品がラインナップ。
並ぶは、「スタミナ源タレ」や「青森田子産にんにくふりかけ」「青森100%リンゴジュース」「青森十三湖冷凍しじみ」など。
まるでもう、ぷち物産館のようです(笑)。
丁寧に解説も加えたメニューを捲れば、まず目に飛び込むのが「極煮干しらーめん」。
「長尾」の「ごくにぼ」が思い浮かんで、そうとなればお願いしない訳には参りません(笑)。
半熟味付玉子を添えてもらいましょう。
なるほど、焦褐色とも云えちゃいそうな、濃密なスープ。

炙った叉焼の上に載せた刻み玉葱が白く映えています。
どれどれと早速、蓮華で掬うスープには細かな銀鱗の浮かぶ。
啜れば忽ち広がる煮干しの風味と真っ直ぐな旨味。

ただそうは云っても、所謂ニボニボ直球ではなく、
フィルタを通すように灰汁を除く手間を十分に施している感じ。
見た目と裏腹にさらっとしていて、エグ味はほとんどない。
仄かに含む煮干し由来の苦味や酸味がスープに奥行きを与えてる。
いいね、どこかの煮干し中華に似ているようで、どこのでもないようで。
やや醤油のキメが利いているのが、特徴に思います。
麺はというと、やや細麺の褐色の。
どうやら麺にも煮干しエキスをと、煮干し粉を練り込んでいるらしい。

店の奥に積んであった麺箱から察するに、
佐々木製麺所という製麺所に委託してつくっている特製麺だ。
うん、これはこれでクセになりそう。

貼り紙に吊られて、「青森ねぶた漬けごはん」も一緒にいただけばもう、
満足満腹間違いありません。
それじゃぁ、ノーマルの「煮干しらーめん」はどうだろうと別の夜。
ドンブリのスープは、「極煮干し」とは明らかに違う透明度。


浅草「対馬」の「中華そば」に近いかと一瞬思うも、
「まるかい」の方が似てると思ったり。
でも、これまたいずれのものでもない感じ。
やっぱり醤油の立ち方が異なって映るのは気の所為でしょか。
松陰神社前の青森煮干し中華そば「JIN」。

店名が何故に「JIN」かといえば、
そこはシンプルに店主のお名前が「じん」さんだから。
徳のありそうなお名前の「仁」さんかな?と訊いたら然にあらず、
なんと「神」さんなんですと。
ああ、有り難や(笑)。
JINさんは、当然ながら青森のご出身だそうです。
「JIN」
世田谷区世田谷4-2-15
[Map] 03-3425-3535
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