
証券取引所の前を通って、
蛎殻町の五叉路方向へと日本橋川を跨ぐ鎧橋。
渡り切った先の右手はぺんてるビル。
どこだろうと探るように視線を泳がせたのは、
その向かいのリサイクルショップと「カクヤス」の間の路地でした。
そのまま抜けると、ナポリタンと昭和な空気が懐かしい喫茶「桃乳舎」の前にでるなぁと思いつつ進むと、
風に微かに揺れる白い暖簾が見えてきました。
今日のお昼は奮発して、鰻を喰ってやろうという魂胆なのです。
初めて訪れた、うなぎ「喜代川」。

そのまま暖簾を払って、打ち水をした三和土に立って人数を告げると、
右手の方へ回ってくれとお姐さん。
左様ですかと何処ですかと一旦路地に出てみると、右手にも小振りの暖簾がある。
なるほど、左手玄関はお座敷へのアプローチで、
右手にお手軽なテーブル席が用意されているらしい。

新富の割烹「躍金楼」を思い出したりしながら右手の暖簾を潜ると、
そこはどうやらちょうど満席のご様子。
テーブル4卓の小じんまりだものなと思うも、
今度は席が空くまで、左手の玄関から上がって待っていてくれないか、と別のお姐さん。
ありゃまたそっちに戻るのね、と苦笑しながら、
ふたたび左手の暖簾に廻り込んで、奥の待合い椅子でしばし。
お待たせしました、と呼ばれるとまたまた靴を履いて、右手の暖簾へ。
行ったり来たりさせちゃって御免なさいね~とお姐さん。
なんかまぁ、事情が分らんでもないので、
不思議とそんなに悪い気はいたしませんです、はい(笑)。
麦酒空けちゃってるテーブルを羨ましく眺めつつ、
テーブル席メニューから「うな重 竹」をお願いしました。

塗りの漆が照明に映えるお重が肝吸いと一緒に届く。

ほんの少し恭しい所作で蓋を動かしたくなる気分のする(笑)。
お重に収まった蒲焼きとご対面。

目線を近づけて、焼き目を凝視すると、
紀州備長炭で炙られている様子が浮かんだりします。

こうなるともう、ちょっと慌てた感じで箸を動かすことになる。


それを誰も哂えないでしょう(笑)。
浅草「小柳」で感じた、鰻の身のふっくらを包む薄い薄いぱりっとした外周の妙は感じられなかったけれど、辛目のタレでさらっとしつつ、癖のない鰻の滋味と脂の甘さを愉しめた。
たまにはいいよね、ちょっとしたこんな贅沢。
小あみ町、うなぎ「喜代川(きよかわ)」。

老舗旅館と見紛う建物は、築80年を超えるもののようで、枯れた風格がいい。
お座敷にはシッポリとふたり用の個室なんてものあるらしい。
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「喜代川」
中央区日本橋小網町10-5
[Map] 03-3666-3197
http://www.unagi-kiyokawa.com/
column/03139