
思い返せば、ここに初めてお邪魔したのは、
ベルビア館の地階で一時期展開していた「カレーうどん革新ラボ」に潜入した日のことでした。
なにも夜にカレーうどんを何杯も啜るであろう日のお昼にカレーうどん食べなくてもいいものをと自分を嗤ったものでありました(笑)。
然るべく京町屋を意識したであろう黒塗りのファサード。
店の角には大きな提灯を掲げて、京うどん、そして、カレーうどんを謳い、誘う。

何気なく見上げる瓦の上で見守っているのは、鍾軌さんか。
店内の調度も黒が基調。
地階にも客席があるようだけど、
そのまま真っ直ぐ進んだカウンターに落ち着きます。

お願いしていたのは、「肉ぎつねカレーうどんセット」。
あるじのカレーうどんは、なるほど葛っぽいとろみのカレー汁にお揚げや九条葱がたっぷりと浮かんでいます。

和出汁しっかりのとろみに意外とエッジを利かせた辛味がいい。
幅広に刻んだお揚げは、北野天満宮前の豆腐屋とようけ屋山本のお揚げさんだ。
そして、うどんそのものも讃岐のそれや武蔵野のそれとは明らかに違うもの。
つるつるとした艶めかしさが印象的で、噛めば一瞬のもちっとを歯切れよく残してくれる。

「ヽや」のうどんは、関東の粉だてどうしてもコシがでてしまうということもあって、関西の粉を指定して都内の某製麺所で打っているそう。
コシよりも口触り、のど越しに重きを置いたうどんが京のうどんなのだ。
京のうどんと云えば、
こっちもいただいておかなくちゃと目指した品書きは「九条ねぎうどん」。
京都から直送の九条葱と土生姜のおろし。

九条葱のうどんで思い出すのはやっぱり、祇園裏通りの「萬屋」さん。
「萬屋」さんでの九条葱は、筒状に刻んで、葱の甘さを引き出すためか、ちょっと炊いた感じの仕立てだったけど、ここ「ヽや」の九条葱は、半ば薬味的な葱の使い方にも映る。
時季の事情もあるかもしれないし、こふいふのもまた悪くないぞと、シャクシャクずずず。
ああ、でも暫くしてその葱がシナっとしてきて、甘さを増してきます。
京うどんの店「ヽや」では、実は何故か、水曜日と金曜日限定で「中華そば」も供しています。
ということで、夜の京橋へ。
閉店間際の最後の一杯の「中華そば」。
雅に端正な表情で、はんなりした風情をどことなく含ませる。
しみじみするお出汁のコクに細麺がよく似合う。


“京風らーめん”なんてラーメンは、京都にはないと知っているけど、こういう面構えのどんぶりを京都発祥を謳うお店が出すと、また勘違いしてしまうヒトが頻出するのではないかと心配になるなぁ。
中華そばの麺は、打ち方指定して関西から送らせてるンだって。
京うどんとおばんざいのお店「ヽや(ちょぼや)」。

“おちょぼ口”の”ちょぼ”でもある、”小さな”を意味する京ことばを店名に冠したのは、おばんざいにも通じる、”ちょっとづつ美味しいものを”という想いから。
もう少しおばんざいメニューが充実していれば、ちょぼっと軽く晩酌に寄ろうか、なんてヒトが増えそうな気がします。
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「ヽや」
中央区京橋1-14-1中山ビル1F
[Map] 003-3563-4560
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