通過するばかりで、下車する機会のあまりない戸越公園駅。
その戸越銀座の駅前を通る商店街から外れたところに、ちょいと気鋭のラーメン店があると訊く。
こんなところにヨーカ堂があったのねと呟きつつ、歩くその先の暗がりに一点、スポットに照らした店が見つかった。
どこか「ajito」チックにも思うのが、
「インフィニ」のファサードだ。
手作り色満点の造作の、キーアイテムは緑に塗ったカウンター。
そして店全体に鏤めた、サッカー嗜好のアイテムたち。
“FOOTBALL 麺CLUB”と謳う趣味の部屋に友達を招くような、そんなノリの6席であります。
お願いしたのは、「インフィニのまぜそば」。
「卵」「辛味マヨネーズ」「とろけるチーズ」のトッピング全部のせで挑みます。
なるほど、「ジャンクガレッジ」とほぼ同じ見栄えのドンブリ。
底のタレを十分に絡めるように、よーく混ぜ混ぜする、如何にも旨そうな麺は、ご存知浅草開花楼謹製。
粉の風味が活きた噛み応えの心地いい麺は流石で、口の廻りを汚しながらも、啜る動作が止まらない。
「ジャンクガレッジ」に思った、まさに”ジャンクな魅力”は、ここではそれがすっかり丸いものになっている。
尖がった味わいの代わりに少量のスープがドンブリ全体に旨味を齎して、上品ですらあるンだ。
牛骨を使っていると云われるのがなんだか頷ける、そんな仕立てのまぜそばだ。
日を変えてふたたび、師走の夜。
今度は、まぜそばでなく、「ヤサイカライ」と呼ぶ、つまりはラーメン。
湯掻いたキャベツ、人参、ほうれん草と、やや厚めにスライスしたチャーシューののった、穏やかな佇まい。
「カライ」というのはきっと、ドンブリの脇に添えている、魚粉や胡麻、干し海老などと和えた唐辛子を指す。
じゃ、「ヤサイ」というのはトッピングはもとより、野菜のピューレをたっぷり織り込んだもののように思えるスープのとろみを指しているのかと思いきや、これが和牛牛骨をじっくり時間をかけて煮出したものらしい。
これまた、動物系に思えない、意外なほどに優しい仕立て。
開花楼の麺によく絡むそのスープに辛味を溶かし込むと、味わいの輪郭が立ってきた。
サッカーフリークの店らしく「ロスタイムライス」と呼ぶ、玉子と豚肉のスネほぐし、ライスボールのセットを追加して、辛味を足したスープに投入するのがどうやらお約束。
ノンジャンクなスープがゆえに、スープ完飲にも罪がない。
「ジャックガレッジ」で目覚めて生まれ営んでいた、
ネット販売専門ラーメン店「infinitus 0」。
業界初の無店舗型にはやはり無理があったのか、ネットからリアルなカウンターへと回帰したのがここ「インフィニ」だ。
無限大∞を意味する店名に籠めた想いは、どんなさらなる展開をみせるのでしょう。
「インフィニ」 品川区豊町4-1-14[Map] 03-6423-1788
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