らーめん「はやし」で 焼き豚らーめん多層な深みと洗練塩もあり

hayashi.jpgそれはおそらく、5年以上も前のこと。 多分、どこかで昼メシ摂った帰り道。 246の南平台辺りからマークシティの脇へ抜けようと歩いていて目に留めた白い暖簾。 粋な和食処のそれのような潔さで、中央に「はやし」とだけ標してある。 頭上には、湯気を上げるドンブリと雷紋のシルエット。 「へー、洒落たラーメン屋だ、今度来てみよっと」と思って通り過ぎたのでありました。
それ以来、思いついてはマークシティ脇の急坂を登っては、営業していない様子の店先を眺めること幾度か。 どうやら午後三時過ぎまでしか営業していないと知って、ハードルが上がったままとなっていました。 この日は、野暮用で渋谷に11時半。 あっ!と思い出して足を例の坂道に向ける。 おひとりさま待ちの後ろについて、しばし待機。 暖簾の裏の券売機hayashi01.jpgにはボタンがいくつもあるけれど、メニューの表示があるのは潔くも「らーめん」「味玉らーめん」「焼き豚らーめん」の三つだけ。 味付玉子入りとある「焼き豚らーめん」を選んで、ダークブラウンを基調としたダイニングっぽいカウンターの奥へと進む。 落ち着いた清潔感は、悪くない。 やや径の小さなドンブリを覗き込むと、半切にした味付け玉子の向こうに焼き豚ならぬ煮豚が揃って並び、その先に海苔が一枚。 太目のメンマが脇を固めています。hayashi02.jpgスープを啜って真っ先に浮かんだのが、最近は云われなくなった「青葉インスパイア」の文字。 「青葉」を多層な深みと共にすっきりと洗練させた感じは、とうに「青葉」を凌駕している。 hayashi03.jpgじっくりとコクのある要素と魚介出汁のバランスに仕立ての良さを思ってニヤリとする(笑)。 そう云えばと、はんつさんの「無化調ラーメンMap」を読み返すと、ゲンコツなども使っているもののスープの基盤は国産鶏で、じっくり時間をかけて作り、一晩冷蔵庫で寝かす、とある。 なるほど、すっきりと深い滋味はそんな工夫からきているのですね。 麺はエッジの利いたストレート。hayashi04.jpg低加水で、粉の味わいを素直に愉しめる仕様になっている。 もっとシャキシャキと食べたかったら、硬めにお願いする手もありますね。 ご馳走さま!と告げて帰ろうとしたところで、客のひとりがチケットをカウンターに置きながら「塩でお願いします」と言ったのが肩越しに聞こえた。 へ?塩もあるんだ。 どうやら、券売機や店頭の品書きにはないけれど、醤油でなく、塩仕立てでも供してくれるらしいと知って、改めてとある土曜日の昼(笑)。 先日と同じ「焼き豚らーめん」のチケットを「塩で」と差し出します。 hayashi05.jpghayashi06.jpg 塩であっても、スープは褐色。 さまざまな材料のエキスが煮出されて、この繊細な表情のスープになっているのだねー、なんて思ったりする。hayashi07.jpg味わいは醤油の方が輪郭がしっかりしている代わりに、 スープそのものの奥行きは塩の方が断然判る。 hayashi08.jpgドンブリの底に小海老が残るのは、塩ダレに含んでいるからなのかな。 そもそもタレで食べさすラーメンじゃないので、醤油でも塩でも極端に味の印象が変わることはないけど、塩も試してみたらいいかもね。 らーめん「はやし」で、落ち着いた雰囲気と丁寧な仕立てのドンブリと。hayashi09.jpgセンター街や道玄坂沿いは似合わない、立地の妙を思います。 「はやし」 渋谷区道玄坂1-14-9 ソシアル道玄坂1F [Map] 03-3770-9029
column/02817 @1,000-

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