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蕎麦うどん「ぎをん権兵衛」で そば汁利かせた親子丼底まで旨い
四条通りを八坂さんに向かって進み、
切り通しの筋をちょっと上ルと見つかる赤い提灯。
3、4人が白い暖簾の前に佇んでいるのは、お昼どきをすっかり過ぎた時間でもまだ混んでいるからのよう。
お店の額には「権兵衛」とある。
暖簾の向こうから招き入れられたひと達にくっついて、はい、こんにちは(笑)。
狭い通路右側の、衝立に挟まれた小上がりの座卓に案内されました。
後ろから続いて入った老夫婦とご相席です。
舌代には、「釜揚げうどん」「のっぺ」「けいらん」「志っぽく」といったどちらかというとうどん系のお品とそば類、そして七種類のどんぶりモノが示されています。
「親子丼、お願いします!」。
実はお店に入るずっと前からオーダーするものは決まっていて、どんなかなぁと想像しながら四条通りを歩いてきたのです。
ところが、お兄さんの口から出た台詞は、「申し訳ありません、ご注文が集中してご飯を切らしてしまい、これから炊くところで45分ほど時間が掛かってしまうのですが……」。
うえ~ん(泣)、であります。
でもまあ、半端な時間に来ておいてご飯もないのかと詰るのも粋じゃないやねと、「待てばできます?」と訊いてみた。
通しの営業のようなので、「では、お待ちいただけますか?」となった。
うん、のんびり雑誌でも捲りながら待つことにいたしましょう。
想定よりも早くどんぶりがやってきました。
白熱球に照らされて滑るようにテカる溶き玉子の表情がいい。
色合いから見てもやや濃いめのタレを使っているのが判る。真ん中あたりに山椒の粉が軽く盛られていて、そこらを掠めるように箸を動かします。
おほほ(笑)。
はんなりと旨味が広がる、なんて感じではなくて、しっかりとしたタレがリードする味わいの輪郭がはっきりした美味しさ。
出汁の利いたそばの辛汁を使っているようで、
なるほど、うどん・そばのお店ならではの歓びなのだね。
柔らかでありながらしっかとした地鶏の滋味に山椒の香りがふわんとくればまた、嬉しからずや、であります。
硬めに炊いたご飯にさっと辛汁が包むようにして、どんぶりの底まで旨いのんよ。
切り通しのそばうどん、そして親子丼処「ぎをん権兵衛」。帰り際、ホールの皆さんがそれぞれに「大変お待たせしまして~」と声を掛けてくれる。
そんな気配りの一貫性も嬉しくてつい笑顔になる。
いえいえ、炊き立てをいただけましたからぁ(笑)。
「ぎをん権兵衛」 京都市東山区祇園町北側254 [Map] 075-561-3350