四谷界隈と云うと、
しんみち通りか荒木町の狭い通りが思い浮かぶ。
今夜のほろ酔い処は、そのちょうど中間地点。
裏通りではなく、天下の大通り、新宿通りに面したビルの地階にあるという。
なんとはなしに、建物の風化と歩調を合わせて澱が溜まるようにただ古びている、そんなお店の様子をイメージしたりして。駅に着けば、このところの異常な雷雨が迎える。待てども落ち着く気配がない。
傘に身を縮めて辿り着いたのは、松本館というやや草臥れたビル。
先のイメージにも一致する寂しげな階段を下りる。
「萬屋 おかげさん」。
格子戸に掛けられた額の筆文字でお店を確認して、店内に入るとそこは、先のイメージを吹き飛ばすような静かな熱気と快活さに満ちている。
あれぇ?なんかとっても良さそう(笑)。
奥の待ち合わせのテーブルに合流して、まず麦酒で乾杯。

ともすれば、半端な味わいにもなるイサキの身を、滋味にまで高めていて、いい。
フレーク状の唐墨をまぶしているのが真子鰈。
唐墨の風味と乾いた食感がどちらかというと無彩色な味わいに彩りを添えてくれて、いい。
妖艶な紅く澄んだ身に香ばしそうな皮目の縁取りを魅せる鰹。
身肉そのものの魅力に、「すきやばし次郎」よろしく藁炙りが風雅を添えて、いい。
たっぷりと肝を含んだタレで和えた秋刀魚。
早くも脂ののった秋刀魚の身が酒呑み心に訴える肝の風味をしっかと纏って、
堪まらんほどに、いい。
刺身にするだけでもイケるタネに手を入れてさらに昇華させる手管は、ニクイじゃありませんか。
”おいしいごはん”とは、長野で指定した田んぼが実らせた稲のものだそうで、舎利を握るかのような崩れず固めずふわっとしたむすび具合と小笠原の塩のミネラルがきらきらと粒だったお米の甘さ風味を余すとこなく引き立てていて、こいつぁ旨い。いや、うめぇ(笑)。
味わいふくよかなお酒たちとその呑兵衛心にすんなり応える酒肴、そしておむすび。
日本人に生まれてよかったー!と右手拳を突き上げたくさせる旬菜と地酒の店「萬屋 おかげさん」。
おかげさんで佳い酒いただけましたと、帰りがけの客の台詞を拾った店名かもしれないな。
今宵のご同席多謝は、「くにろく 東京食べある記」のくにさん、「岡部敬史の編集記」の岡部さん、「Tokyo Diary」のromyさん、の皆さんでした。また呑みましょーっ♪
「萬屋 おかげさん」 新宿区四谷2-10 松本館B1 03-3355-8100 http://www.okagesan.net/
column/02673 @6,400-

おっと、意外と早く来ましたね~(汗)。
さすがレポが詳しくて参考になります。。。
それにしても、おむすびおいしかったねっ♪
日本酒と贅沢おむすびで、まさに「日本人に生まれてよかったー」と夜空に叫びたくなる感激でした!
Re;romyさま
はい(笑)。ただいま10日遅れ前後で進行しております。
なかなかリアルタイムに追いつきません(汗)。
別にたかがおにぎりだろ~と云うなかれ!って感じでした。
そこまでの日本酒と酒肴があってこその喜びなのでしょうね。