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旬菜と地酒「萬屋 おかげさん」で 日本人に生まれてよかったー
四谷界隈と云うと、
しんみち通りか荒木町の狭い通りが思い浮かぶ。
今夜のほろ酔い処は、そのちょうど中間地点。
裏通りではなく、天下の大通り、新宿通りに面したビルの地階にあるという。
なんとはなしに、建物の風化と歩調を合わせて澱が溜まるようにただ古びている、そんなお店の様子をイメージしたりして。駅に着けば、このところの異常な雷雨が迎える。待てども落ち着く気配がない。
傘に身を縮めて辿り着いたのは、松本館というやや草臥れたビル。
先のイメージにも一致する寂しげな階段を下りる。
「萬屋 おかげさん」。
格子戸に掛けられた額の筆文字でお店を確認して、店内に入るとそこは、先のイメージを吹き飛ばすような静かな熱気と快活さに満ちている。
あれぇ?なんかとっても良さそう(笑)。
奥の待ち合わせのテーブルに合流して、まず麦酒で乾杯。
茶色いラベルのビールは、舞浜地ビール工房「HARVESTMOON」。
シュバルツ、とあるようにドイツでいうところの黒ビール。ご当地ビールにありがちな、やや不思議な香り付けがされてる感じ。
ん?その下に”IKSPiARI”とあるのは、どこかで見聞きしたことのあるフレーズ。
あ、舞浜のディズニー・リゾートの一角にあるイクスピアリ発のビールってことなのか。
ビールに合わせるように、
黒板メニューから鶴岡の「農家直送だだちゃ豆」。
そして、自然な飼料と放育39日とある、つくば鶏の「ハツ焦がし醤油焼き」。
大きく刻んだハツの身の、ハリのいい歯応えとゆったり熟した味わいが香ばしい醤油でぐいとひきだされている。
ハツに負けじと「マグロなかおち生姜焼き」。
口にするそばからふわっと消えるよな食べ口に鮪独特の風味と脂が余韻する。濃い目の生姜たれが味わいに輪郭を添えているンだ。
籠から選んだのは、猫の背中が愛らしい絵柄の小さめお猪口。
仕込み水「夢心」を脇に、福島の特別純米生原酒中垂れ「奈良萬」。
「十四代」のラベルに赤字で「酒未来」とあるのは、かの高木酒造が自ら開発した酒造好適米で成す純米吟醸であるから。
大きな角皿に一緒盛りしてくれたのは、五島の「活〆いさき刺身」、厚岸の初物「秋刀魚の刺身肝合え」、気仙沼の「鰹わらあぶり刺」、常盤「真子鰈刺身」。
うお~、と合唱してしまうのは、どっかの宴会場でみるような船盛りとは志向が違うのだもの。
たれ醤油にひたひたとして、白胡麻とおろし山葵を背にしたいさき。ともすれば、半端な味わいにもなるイサキの身を、滋味にまで高めていて、いい。
フレーク状の唐墨をまぶしているのが真子鰈。唐墨の風味と乾いた食感がどちらかというと無彩色な味わいに彩りを添えてくれて、いい。
妖艶な紅く澄んだ身に香ばしそうな皮目の縁取りを魅せる鰹。身肉そのものの魅力に、「すきやばし次郎」よろしく藁炙りが風雅を添えて、いい。
たっぷりと肝を含んだタレで和えた秋刀魚。早くも脂ののった秋刀魚の身が酒呑み心に訴える肝の風味をしっかと纏って、
堪まらんほどに、いい。
刺身にするだけでもイケるタネに手を入れてさらに昇華させる手管は、ニクイじゃありませんか。
空いたお猪口にと茨城の「来福」をとお願いすると、愛山という酒米の「純米大吟醸 斗瓶囲い生原酒」。
微発泡にも思える白濁した滴は、清らかにフルーティ、そしてキレのいい深み。
おっと忘れちゃいけないと、右へ左へ軽快に立ち回るホールの姐さんに声を掛けて届いたのが、
「塩だけの贅沢なおむすび」。”おいしいごはん”とは、長野で指定した田んぼが実らせた稲のものだそうで、舎利を握るかのような崩れず固めずふわっとしたむすび具合と小笠原の塩のミネラルがきらきらと粒だったお米の甘さ風味を余すとこなく引き立てていて、こいつぁ旨い。いや、うめぇ(笑)。
味わいふくよかなお酒たちとその呑兵衛心にすんなり応える酒肴、そしておむすび。
日本人に生まれてよかったー!と右手拳を突き上げたくさせる旬菜と地酒の店「萬屋 おかげさん」。
おかげさんで佳い酒いただけましたと、帰りがけの客の台詞を拾った店名かもしれないな。
今宵のご同席多謝は、「くにろく 東京食べある記」のくにさん、「岡部敬史の編集記」の岡部さん、「Tokyo Diary」のromyさん、の皆さんでした。また呑みましょーっ♪
「萬屋 おかげさん」 新宿区四谷2-10 松本館B1 03-3355-8100 http://www.okagesan.net/
おっと、意外と早く来ましたね~(汗)。
さすがレポが詳しくて参考になります。。。
それにしても、おむすびおいしかったねっ♪
日本酒と贅沢おむすびで、まさに「日本人に生まれてよかったー」と夜空に叫びたくなる感激でした!
Re;romyさま
はい(笑)。ただいま10日遅れ前後で進行しております。
なかなかリアルタイムに追いつきません(汗)。
別にたかがおにぎりだろ~と云うなかれ!って感じでした。
そこまでの日本酒と酒肴があってこその喜びなのでしょうね。