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チュニジアレストラン「イリッサ」で ホードラとハリサとシシカバブ
武蔵小山の「イリッサ」にお邪魔した時、
店主のメリティーから「長原の方にもお店あるのよ」と聞いていました。
その南千束店は、中原街道沿い。
環七と立体交差する南千束交叉点から下っていけば、
武蔵小山店と同じ空色の看板が見つかります。
今日は、「イリッサ」のランチをいただきましょう。強い日差しを浴びていると、席に着くなり「ビール!」と口走ってしまう悪いクセ(笑)。
「ありません~」と云われて、はたと気がついた。
そうだったそうだった、チュニジアはイスラム圏で、豚もお酒も禁忌の対象。
だから豚肉料理もないのだものね、ゴメンナサイ。
選んだのは、チキンとグリーンピースのトマトソース「ホードラ」。
掬うほどにスプーンに載ってくる、たっぷりのグリーンピースをハフハフと啜る。
さらっとしてスープと呼びたいソースは決して強い味付けではないのだけれど、なんだろ、ハーブの香りがほどよく利いていて、旨味がひたひたっとくる感じ。
「イリッサ」のパンになくてはならないのが「ハリサ」。武蔵小山のお店でいただいた時は最初、どうもパンに唐辛子系の赤いペーストを塗るのに戸惑いがあったのだけれど、もう慣れたもの(笑)。
オリーブオイルとよく均した方が、いい具合になるであります。
そしてもちろん、「ハリサ」をスープに溶くとまた、ぐぐっと味の輪郭が浮き上がってくるのです。
この日お店を切り盛りしていた青年と、片言同士ながら会話を交わすと彼は、武蔵小山で会ったメリティーの弟さんなのだと云う。ほうほう。
で、彼の入れてくれた紅茶が旨い。
濃く煮出した紅茶にジャスミンのアロマエッセンスを数滴垂らしたもので、澄んだ味わいの中にジャスミンのゆるゆるとした心地いい香りが立ち昇って、和んでしまうのです。
その数週間後、再び「イリッサ」でランチ。
この日の「バタータ」は、マトン、じゃがいも、ひよこマメのトマトソース。優しい滋味が嬉しいのはこちらも同じ。
狙いのもうひとつが、店頭に串に刺されていた肉塊が気なるシシカバブ。
ただし、このお肉も“Halal Chicken”、イスラムで食べることを許された肉であるところの鶏肉を使ったもの。
それを店頭で削ぎソギして、パンに挟んだのが「シシカバブサンド」なのだ。
サウザンアイランド的ソースが一瞬意外に感じたものの、齧りつくほどにそれが馴染んで、鶏肉から滲み出す旨味を引き立ててくれるようになる。うん、うん。
先日の青年ではない男性が調理・応対してくれていたので、再び訊いてみると、メリティーの弟は臨時に手伝ってくれていて、それもほんの2、3日のことだったのですよと云う。
たまたま、そのタイミングで店を訪れていたことになるね。
彼の淹れてくれた温かいコーヒーにもまた、ジャスミンのアロマが不思議とよく似合う。
中原街道を走る車窓からもきっと目に留まる、空色で描く「ILLISSA」の文字。今度は夜に来ようかな。
口関連記事:チュニジアレストラン「イリッサ」武蔵小山店 でブリックとキフタ(08年04月)
「イリッサ」南千束店 大田区南千束1-4-5 03-3728-2223 http://illissa.web.fc2.com/