column/01969
焼とり焼肉おでん「メンガテー」で ボリューム満点おでんとおばぁ
初めて石垣島をダイビングで訪ねた時にお世話になったガイドお薦めの八重山そばのお店がここ、「メンガテー」でした。
ビル壁面の半端に高いところにある看板を頼りに暗い脇道を入っていくと、オレンジ色のガラスの填まった扉から灯りが漏れている。
そこを恐る恐る覗き込むと、左手の小上がりのところでオバチャンが寝転がっているのが目に留まったのです。
うげげ。
そこへコンバンワと入っていく勇気は、その時のボクにはありません。
スタコラと逃げ出すようにその脇道を後にして、通りの居酒屋で不味い八重山そばを食べることになってしまったのでした。翌日そんな話をそのガイドにすると、「おばぁ、寝てた? ははは。でもね、やっぱりおススメだよん」と云う。
そぉか~今度石垣に行くことがあったら、絶対に喰ってやるんだと心に誓っていたのです!
そしてこの日、再び石垣にやってきました。
早速、いつぞやの脇道を入ると…。
おばぁ、いました。
しかも、寝ていない(笑)。
カウンターにお客さんもいる。
もう、常連客のような気分です。
入っていっても「いらっしゃいませ~」はありません。
おばぁは、ちょっと知らないヒトを見るような、どちらさまでしたっけってなどこか怪訝な、でも柔和な表情で迎えてくれます。
「おでん、ありますよね?」と云うと、あいよってな感じで早速鍋のもとへゆっくり動き出すのです。
おでんでオリオンをイッテから、おばぁのそばをいただこうという魂胆です。
ところがね。
おばあがゆっくりと運んでくれた「おでん」。
これが、ボリューム満点なんだ~。
直径30cmほどのお皿に、でかいテビチをはじめ、でかいコンニャク、ソーセージに、竹輪、こぶ、煮しめた大根、厚揚げに煮玉子、そして何故かレタスが盛り込まれているのです。
てびちから抽出されたと思われるコラーゲンか脂かの膜がたっぷりと張っています。
果敢に食べ進みますが、骨を避けよけてびちを平らげたところで、おばぁにこう伝える事態になってしまいました。
「おでん食べてから、そばももらうつもりだったけど、食べれましぇん。残念ですぅ」。
おばぁはニコっとして、「またあしたくりゃええ」。
遠からずまた来るぞと思う、嵐の前の石垣の夜でありました。
「メンガテー」 石垣市美崎町10-19 0980-82-8065