大衆食堂「みゆき食堂」で壁一面の品書きでひる呑み万歳一貫した優しい味付けに好感

西武池袋線を池袋から出て、所沢駅のふたつ手前が清瀬駅。
秋津、東久留米ともどとも急行の通過する駅で、その名の通り清瀬市市内にある。
そして、この2024年06月に開業100周年を迎えたという。
清瀬出身のタレントと云えば、そう、中森明菜のことを思い出す。
ずっと昔、おそらくデビュー当時、雑誌「GORO」のグラビアに、確か制服姿で清瀬駅のホームでの写真が載っていたことを妙に憶えてる(^^)。
「セカンド・ラブ」など、そんな中森明菜の楽曲が、
100周年の記念事業として、発車メロディに採用されたそうだ。

清瀬駅の駅改札を背にして右に折れ、
階段を下って南口に出る。
南口ロータリーに設置された、
明菜直筆メッセージ入りのパネルを眺めてから、
その期間特別に用意されたバスに乗り込みます。

バスが到着したのは、志木街道沿いの下清戸バス停。
その裏手が、08月初旬の一週間に亘り開催された、
「清瀬ひまわりフェスティバル」の会場なのであります。

なーるほどー!
兎に角一面のひまわり、ヒマワリ、向日葵だ。
フェスを催したくなる気持ちもよく判る(^^)。
宮古島でもより広大な一面のひまわりを拝んだけれど、
宮古島の一面のひまわりの場所は、実は砂糖黍畑。
土地を肥沃にするために、
ひまわりを沢山植えていると聞いた。
清瀬のファームも同じ目的なのかもしれません。

遮るものなしの酷暑にひと休みしてから、
南口へ戻るバスに乗り清瀬駅へとUターン。 その足で向かうはやっぱり、
ご存じ「みゆき食堂」でありましょう。
南口からふれあいろーどですぐ、であります。

ここが「定食屋」であることを明示する、
木製吊りパネルもいよいよ朽ち始めてきた。 タイムサービスの「とんかつ定食」はなんと、
ポテトサラダ付きで税別600円也。
“おなかすいてる君に”と、
マジックで書いたフレーズが泣かせます(^^)。

店内全体を飴色と品書きの黄色が包んでいて、
何故だかホッとするようなワクワクするような、
ちょっと不思議な気分になる。 壁の額のひとつには、吉田類のサイン。
別の壁には、「孤独のグルメ」原作者の久住昌之、
ご存じ井之頭五郎役、松重豊のサインが並んでいる。

そして、「みゆき食堂」の名物と云えば、
壁一面に貼られた黄色い品書き札の林林総総。 キョロキョロと目移り必至。
多すぎて反って選べない!
という事態に容易に陥ります。

相変わらず暑い暑い云い乍ら、
壁の品書きの列に視線を迷わせる。 品書きの二段目あたりで目に留まった、
「キンピラごぼう」「ウインナーエッグ」をひとまず。
中瓶ビールで、嗚呼、生き返る(^^)。

メニューにあれば註文みたいのが、
「ポテトサラダ」200円也。 銀杏に切った人参の入ったポテサラって、
意外とないような気がする。

「ニラの卵とじ」は、300円也。 たっぷりの韮にやや濃い目のタレが滲みて、
酒のアテにもご飯のお供にも、イイ。
もっとも、半分以上の品書きが、
「おかず」の表題のところにあるものなんだけどね。

玉葱、人参、獅子唐、薩摩芋、山芋、南瓜、茄子、
ピーマン、オクラ、セロリ、椎茸、占地、舞茸、韮の茎と、
少なくとも14種類はある天ぷらメニューから、
「まいたけ天ぷら」400円也を所望する。 品書きの脇では、免疫力を高める!とアッピール。
油に馴染んだ舞茸の香り、
そのボリュームも嬉しいな。

「なす煮」もまた、300円也。 高野豆腐と一緒に炊かれたお皿は、
なんだか美しくさえあるように映ります。

外待ちの客もあるし、
ここいらで〆てしまおうと、
シンプルに「焼きそば」をお願いする。 素朴さ真っすぐな醤油味の焼きそば。
ソース強めひたひたのヤツより、
こんなんが好みであります(^^)。

ここからは、以前何度か伺った際の思い出。 「定食」木製パネルの朽ち具合は、
まだそんなではない、そんな頃のこと。

焼酎たっぷりめの「ウーロンハイ」で口開けする。 ひる下がりのくだけた呑み屋の風景が、
いつ行っても拝むことが叶います(^^)。

ご存じの通り、
「みゆき食堂」の向かって左手には、
やきとり「佐賀屋」がある。
なので、お隣の焼鳥が食べたい時には、
ホールのお姐さんに声を掛ければ、
焼鳥用のお皿が受け取れる。 どうやってオーダーして、
どうやって焼鳥を受け取ったのか、
正直忘れてしまったけれど(^^)、
「ナンコツ入りつくね」を美味しくいただけた。
こんな焼鳥屋もまた近所に欲しいなぁ。

粒の大きな挽肉がたっぷりのお皿は、
平仮名表記の「まーぼーどうふ」。 平仮名で書いた感じが判るような、
優しい味わいの麻婆豆腐だ。
でもね、麻婆茄子の表記は、
「マーボーなす」なんだよね(^^)。

春の香りです!
そう謳われていたのが「うどの天ぷら」。 白い部分と葉の部分で当然、歯触りが違って、
愉し美味し旨し。
なんだか小料理屋のそれみたいにオツなお皿だ。

ありそでなさそなそんな逸品が、
「イカカラアゲ」500円也。 バター炒めとか煮付けとかが定番の烏賊が、
確かに唐揚げになっていて、
思わずニンマリするのは自分だけではない筈(^^)。

町の食堂にあって欲しいメニューは、
必ずあると云ってよいかとそう思う。 「肉じゃが」は勿論あるし、
「肉どうふ」も勿論ある。

「定食」木製パネルの下のプレートにあった、
タイムサービス「とんかつ定食」の件で、
気になっていたのが「ミルフィーユかつ」。 想像通りの豚肉の重なりが、いい。
品書きの札の貼られた壁の一番右の上、
つまり品書きの先頭にあるのは、
すっかり紙が茶色くなった「ひれかつ定食」で、
「焼肉定食」「とんかつ定食」、
そして真新しい紙で「ミルフィーユ定食」と続く。
そんな様子をなんとなく眺めていたら、
「みゆき食堂」の食堂としての起源はもしかして、
とんかつ定食あたりにあるんじゃないかと、
そんなことを思ったりなんかして(^^)。

壁のお品書き群の左隅の辺りに、
お品書きではない黄色い札がある。 「お知らせ」と小さく題した札には、
食事の後で二階のカラオケ利用の場合、
ドリンク1杯付で1,000円、とある。
いつの日か「みゆき食堂」の一階でひる呑みして、
その流れで二階でカラオケ、してみたい(^^)/。

清瀬駅南口徒歩2分のふれあいどーりに、
夙に知られた大衆食堂「みゆき食堂」は、ある。 創業は、1970年(昭和45年)のことだというから、
既に半世紀の歴史を重ねていることになる。
振り返れば、全体に、
辛過ぎたり、塩辛かったり、
大蒜や香辛料が強かったりといった、
強過ぎる味わいのお皿は凡そ見当たらない。
このあたりが毎日でも通って欲しい、
街の食堂として何気に気を付けている、
店主の拘りなんじゃないかと思ったりもする。
やっぱり、こんな食堂が近所にぜひ欲しい。
明菜も一度くらいは「みゆき食堂」経験があったなら、
オジサンもなんだか嬉しく思います(^^)。

「みゆき食堂」
東京都清瀬市松山1-9-18 [Map]
042-491-4006

column/03885