隣の家の犬が甘えるように鳴いている。
部屋の窓を覆う庇の上で鳩が鳴いている。
今日はダイビングをせずに、ドライブと浜での海遊びに興じる日。
早めに出掛けて、何処か朝ごはんできるお店がないか探しながら海に向かおうと、レンタカーに乗り込みました。
走り出してすぐ、
もしやと思って市役所の方向へとハンドルを切る。
目指したのは、水色の壁の店。期待通りに「栄福食堂」の店先に、
暖簾が掛かっているのが見つかりました。
おはようございま~す!と暖簾を潜るも店内にひと気なし。
いつもオジイがいる店の外の隅切の椅子にもオジイの姿なし。
ひとまずテーブルへと腰を下ろす。
久々に眺める「栄福食堂」の店内。
ここを訪れるのはいつ以来かと当日記を捲れば、
それはもう9年も前のこと。
壁に並ぶトニーこと赤木 圭一郎は、
きっと当時のままのキメ顔であります。
改めて、たもの~!とばかりに大きめの声を出すと、
真っ黒に日焼けしたオジイがひょっこりと厨房から顔を出した。
どっから来たの?というところから話を始めるのは、
オジイの常套句。
ひとしきり会話を交わしたから、
「トニーそば(小)」と「ヤギそば(小)」を註文します。
可愛い盛りの「トニーそば(小)」は、
島のかまぼこなんぞが載っている。ああ、こんなにあっさりしたスープだったかな。
以前、ダイビングの船上で、
「昨日トニーそばに行って、ヤギそばたべたよ!」と云ったら、
スタッフ全員に絶句された場面が印象深いのだけど、
フーチバ香るヤギ汁がなかなか旨かったのだ。
そんな、スタッフ全員が毛嫌いするよな臭みは今朝もない。それどころかやっぱり、
こんなにあっさりしたスープだったっけ?
というのが素朴な感想になる。
まだ煮詰まっていない感じは、
朝だという時間帯にもその背景があるのかもしれないな。
麺は標準的な八重山そばの麺。麺をスープを啜りながら、オジイとの会話は続く(笑)。
訊けばオジイは、結構長い期間、あちこちに外遊をしていたらしい。
「ピパチチャイ」を所望すると、
オジイ手作りの「ピパチ」の話になる。ピパーチとのヒバーチ等ともいう、
ピパチには、GABAという成分が沢山含まれていて、
そのGABA(ギャバ:神経伝達物質のひとつ)なる成分には、
血圧上昇の抑制作用があり、
腎臓疾患・肝臓疾患にも効果があるらしい。
そうなのか~。
ということで、2瓶、ご購入(笑)。
オジイの長いご説明をうんうんと聞いていたら、
異人さんのお客さんが朝もハヨからご来場。そうそう、オジイも自慢げに何度も繰り返し説明してくれた通り、
旅行ガイドブック「LONELY PLANET」に、
6回も載る世界的な有名店なのだ。
トニーそばといえば、世界的にも知られてる、
石垣市役所近く青い壁のやぎ汁の店「栄福食堂」。世界あちこちのヒトと喋ってたのよという、
オジイの云いを裏付けるように、
屋根の上では古びた無線アンテナが傘を広げていました。
オジイ、また寄らせてもらいますね。
「栄福食堂」
石垣市字大川274 [Map] 0980-82-5838
http://tonysoba.web.fc2.com/