「築地木村家」の前を通って、鉄板焼「Kurosawa」の路地を覗き、「紅蘭」の草臥れた紅い看板を確かめる。
宮川食鳥鶏卵の看板建築を眺めながら信号が変わるのを待って、つきじ「宮川本廛」を横目に横断歩道を渡り切る。
ご存知「魚竹」から漂う気風を感じつつ、「新三浦」築地本店向かいの東京チャイニーズ「一凛」のファサードを一瞥。
築地警察署が近くの角地にあるのが、築地バー「PASTIS」であります。
水垢にひと皮覆われた昼間の「PASTIS」。
くすんでなお目を惹くエメラルドグリーンの壁が印象的です。仕事帰りに寄り道した図書館の帰りには、
橙の灯りを点したバーの佇まいに、
ちょろっと惹かれていたりした。
ランチはどうなのだろうと店先の黒板を屈み込んで読む。黒板には「インド風チキンカレー」と「ホルモンカレー」の、
ふた品のみが示されています。
横手の入口から入ると、
正面にふたたびふたつのカレーメニューを書き込んだ黒板が待つ。短髪の兄さんがひとりで切り回している様子ゆえ、
セルフサーブル前払いの必然の構えでありましょう。
窓際の席に佇めば、
硝子越しに築地警察署の建物が見える。呼ばれてから腰を上げ、
オーダーしていたお皿を受け取ります。
ありそでなさそな「ホルモンカレー」に、
オプションのサラダを添えてみた。平皿に広がったカレーは成る程、
サラサラとしていそうな、そんな湖面の表情をしています。
スプーンに掬って口に含んだカレーは、
見た目通りのサラサラ具合。
バシャバシャではなくサラサラだと思わせるのは、
そこにスパイスの粒子を感じさせるから。
新鮮な鶏ガラからとったというスープに、
薬膳ちっくに幾つかのスパイスを織り込んで、
小麦粉主体のカレーとは、
当然のように異なる食べ口になっている。
そんな湖面に適宜浮かぶは、小腸あたりのザ・ホルモン。ホルモンが苦手なひとには、
スパイシーな風味があれどもウムムとなりそな、
直球系のホルモンな味もする。
それが醍醐味だと思いましょう(笑)。
別のおひるには、
「インド風チキンカレー」を所望する。
温泉玉子をトッピングしてみましょう。それは、王道チキンカレーのひとつとして素直にいただける。
辛さにばかり着眼した、ヒーヒー系ではなく、
食べ終える頃からじんわりと熱くなる加減もいい。
名店「デリー」のさらさらカレーと比べたりすると、
スープの出来も、粉っぽさの熟れ具合も、
引けを取るのかも知れないけれど、
なんだか時々、思い出しては食べたくなりそうな、
そんなカレーで御座います。肉大盛りに千切りキャベツを添えたりなってこともありました。
ランチとは別の黒板を眺めると、
いい感じに揃ったバールメニューが並んでる。その日のグラスワインもしっかり提示されています。
築地警察署斜め向かいに、
ランチはカレーの築地バー「PSTIS」がある。パスティスといえば、
水に割ると白濁するあのリキュール。
アブサンabsintheの代替品として作られたことで知られるもの。
外壁を彩るエメレルドグリーンはもしかしたら、
アブサンの緑色をモチーフとしたものなのではなんて、
思ったりしています。
東京都中央区築地1-8-1 泉ビル [Map] 03-5565-9365
http://tsukijipastis.seesaa.net/