ローマ時代には、建物や石畳を構成する石はどの辺りで採れて、どうやって運ばれてきたのかなんてことをチラッと考えながら歩くと、そんな路地にも飲食店の小さな看板が見つかったりしてなかなか愉しい。
下町のような密集感もまたグラドの街の魅力の下地なのでありましょう。
これぞ路地というような、建物と建物の間を斜めになって歩くところもあったりする。突き当たりには、藤棚の緑が覗いています。
瑞々しくも爽やかな藤棚を抱えた家屋を眺めていたら、此処でひと休みしようということになる。こんにちは、お邪魔します。
藤棚の下のテラスのテーブルがちょうど空いていて、いい感じ。間近で見上げる藤の花の薄紫が陽射しに透けて綺麗です。
開け放したドアの中から店内のざわめきが微かに聞こえる。どうやらお店の裏庭に入り込ませてもらったようです。
そんなシチュエーションでいただくとワインは大抵美味しいものですが、これはきっと何処で呑んでも美味しいプロセッコ。エチケットが示すは「Merotto Colbelo Extra Dry “COLBELO”」。
ただDryなばかりでなく、ふっくらした香りの華やぎと甘みがある。
ヴァルドッビアーデネValdobbiadeneはプロセッコで有名な土地らしく、このボトルはDOCの上位D.O.C.G.であるらしい。
うーん、お代り(笑)!
ちょこっとオツマミもしたいなと、でも届いたお皿は豊かなもの。部位の異なる生ハムの香りや脂の感じのそれぞれをフォースラディッシュと一緒に愉しんでは、ワインのグラスを傾ける。
美味しい。
時折、ゆったりした風に揺らいだ藤の花弁が降ってくる。
チーズを囓ってまたひと口。
ああ、至福の時でありますね。
店内を覗いてみると、生ハムの肉塊がデンと置かれていて、ビールならコチラとMönchshofのアイコンがある。ショーケースには美味そうなお惣菜あれこれも並んでいます。
グラドの路地に藤棚抱いたOSTERIA「IN CONTRADA」がある。気さくで朗らかな地元の店が身近にある環境が羨ましい。
近くの壁には、晩年をグラドで過ごしたという詩人で作家のビアージョ・マリンBiagio Marinのプレートがある。
所縁の場所のひとつなのかもしれません。
「IN CONTRADA」
Calle Corbatto,3, 34073 Grado, Italia [Map] 0431 80928