つけ麺まぜそば「ajito ism」でピザソバペペロッソ醤油ラーメン静かなる意気軒昂

ajitoism開店して暫く後の大井町「ajito」には、ちょこちょこ顔を出していたけれど、その後パッタリとお邪魔しない時季が続いてしまいました。
偶に足を向けたら臨時休業だったり、早仕舞いに出会したり。
そんな或る日、とっても久し振りに「ajito」のある裏道に行く。
すると、あの黒いテントから「ajito」の文字がなくなっている。
あらら、イッタイゼンタイどうしちゃったのかと検索をかけてみると、なんとご近所に移転しているではありませんか。

嘗て「ajito」があった場所は、なにやらファンシーな三色に壁を塗りたくってしまってた。ajitoism01壁の脇にはカレーライスの幟が立っています。

移転を知ってから、比較的ちょこちょこと足を運んだのは、光学通りをつらつらと登り、登り切る一本手前を左に入り込んだところ。ajitoism02店の前をそのまま通り過ぎて歩けば、元あった場所に至るというそんなご近所への移転であったのです。

久々にここから註文もうとお願いしたのが「ajito ism」の創作まぜそば、つまりは「ピザソバ」。ajitoism03サラミやトマトの紅にクレソンやピーマンの緑、パプリカの黄色などなどが鏤められて、艶やかなドンブリ。
節粉らしきものも一種類ではないようです。

それを良く混ぜてコールにしっかりと応えるように、ドンブリの底から天地を返すようにして、更にさらによく混ぜる。
するとさっきの艶やかな気配が一転して、シズルにタレや粉エキスを纏った光景を映します。ajitoism04チーズの風味にピーマンの苦味が重なるだけで既にピザっぽいし、そこにトマトやサラミの味わいが重なれば”ピザソバ”たるに十分な風格を備えることになる。
でも結局、この麺を活かすドンブリ底のソースが肝なのでありますね。

カウンター満席のタイミングで訪れたなら、初めて奥に唯一のテーブル席になんてこともある。ajitoism05常連さんは、一番手前のレジ横で立ち呑みしながらマスターとマニアックな話をしたりしています。

お願いしていたのは「ぺぺロッソ」。ajitoism06ajitoism07粉チーズを頂いた麺を浸すソースは、その名の通り赤味を帯びています。

ぺぺロッソのぺぺは勿論、ぺペロンチーのぺぺ。ajitoism08ajitoism09そんなに辛くちゃやーよと思いつつ、恐る恐る麺を啜り上げる。
うんうん、旨い旨い。
ヒリッとはするけれど、妙に刺激的な辛さではなくて、ややもするともったりする輪郭を辛味がシャープにしてくれる感じだ。

冬の夜には、冬の夜に15食限定の「ajito ismの醤油ラーメン~モダンヴィンテージ」。ajitoism15それは、つけ麺やまぜそばの店だとばかり思っていた人々を驚愕させる完成度。
愉しげに奇を衒ったり、マニアックに濃度を増したりしている訳では勿論なくて、スープの採り方にも麺の仕立ても基礎がなってなければ果たせないことなのが判る、そんなドンブリだ。

スープを最後の最後まで堪能してしまおうと「〆のぞうすい仕立て」もお願いする。ajitoism16スープを残したドンブリを一旦カウンターの中に返して、玉子にライス、追加のりに辛味オイルでどんぶりを仕立て直してくれる。
満足満腹の一杯プラスアルファであります。

イレギュラーメニューや限定メニューもよいけれど、時には基本形の「ajitoのつけ麺」も時にはいいでしょう。ajitoism13ajitoism14ここからすべてが始まった。
そんな想いがマスターにもあるのかもしれません。

そうそう、2年程前の夏にはレギュラーメニューに「つけ麺じゃないロッソ」なんてのもありました。ajitoism10ajitoism11その名の通り、ロッソのソースをアレンジして汁そばに仕立てた佳品。
これまた安心納得の完成度安定度。
最近のメニューにコレがないのが不思議でならなけど、「ajito ism」がつけ麺まぜそばのお店であってラーメン店ではない、ということに起因しているのかもしれません。

ご近所に移転してなお静かなる意気軒昂さを魅せる「ajito ism」、
ここにあり。ajitoism17タイミングによっては勿論、満席のこともある。
そんな時は、入口脇にあるショーケースに飾られたフィギュアあれこれを眺めつつ、席が空くのを待つのも一興です。
今度はイレギュラーメニューにしようかな、それともレギュラーメニューにしようかな。

「ajito ism」
品川区大井1-37-4 オラシオン1F [Map]

column/03588