伊東屋での買い物帰りに、
裏口から出た足でよくその様子を眺めていたのが、
野草・茶花の専門店「司」の店先。
もしかしたら、伊東屋裏にあった代理店で、
アルバイトをしていたうん十年前からあったのかもしれません。
そしてその二階にあるのが、茶房「野の花」。店先に飾られた花器や鉢を横目に右手に回り込むようにすると、
そこから二階への階段が迎えてくれます。
階段を上がった処に下がる暖簾を払うと、
細やかな木花を挿した花器の並びが目に留まる。
左手中央に大きなテーブルが置かれ、その奥にも数卓のテーブル。一番隅の椅子にと腰掛けました。
まだまだ正月の空気の残る頃のお品書きには、
「睦月のごちそう」と題するメニューもある。
前の日が人日の節句だったこともあり、
お願いしたのは、七草粥のお膳です。
枸杞の実のよな赤の他にも野の草の緑色が所々に混じる粥。後から届けてくれた紙の上の塩を摘んで加えて、匙を動かします。
七草の分量が特別多い訳ではないので、
野の草を満喫!という仕立てではないけれど、
その優しい味わいがほっこりとした気分にしてくれます。
添えた長皿には、数珠のような形状の草を煮付けたようなお惣菜が載っている。訊けば、「ミズ」という山菜のコブコとか。
ミズコブとかミズムカゴ、ミズの実とも呼ばれるもので、
秋田から送ってもらっているものの佃煮だという。
どうやら野山に自生する植物の佃煮を定番の品としている模様。
煮物は、濃い出汁と塩糀のみで味付けでしているとある。
しっかり満腹のジャンクなランチとは対極にある自然派の膳が、
いつでも心穏やかにしてくれる、そんな気がします。
野草・茶花の専門店「司」の二階に茶房「野の花」がある。ふと見た壁の貼り紙では、「野の花教室」の生徒募集中。
如月や弥生の「ごちそう」は、どんなお品書きになるのかな。
「野の花」
中央区銀座3-7-21 野の花「司」2F [Map] 03-5250-9025
http://www.nonohana-tsukasa.com/sabou.html