武蔵小山駅を地上に上がって、都立高で初めて選抜出場(21世紀枠)を果たした、
小山台高校を囲む塀の脇を往く。
時折金属バットが硬球を弾く音が聞こえてきます。
この小路を抜けていく先には、
うどん乃「かわむら」や手打ち蕎麦「ちりん」、
インド茶店「INDIAN CHAI HOUSE」などなど。
そして、その手前に紅いテントがアクセントのビストロがあるのです。
木骨モルタル造の典型的なアパートの一角が白塗りされて、
ちょっと洒落た表情のお店に仕立てられている。
店先の黒板メニューを覗き込んでから、
「OPEN」の札の下がるドアを引き開けます。
店内もアパートの一角であることをすっかり忘れさせるシックな装い。
しっとり落ち着いて、居心地のいい雰囲気です。
奥の厨房前に陣取るカウンターで、
カップのコンソメを掬いつつ見上げた右手頭上には、
フィックスの小窓があり、大振りなワイングラスがディスプレイされている。
京都のバー「カルバドール」の窓を思い出す。
壁には、錆びた風のカトラリーのオブジェが引っ掛けてあったりします。
目の前でその工程を眺めていた「鶏のオムライス」が手許に届きました。
ゴロゴロっと大胆に切り分けた鶏肉が印象的なチキンライスがこんもりと。
その上に横たわるように玉子のふっくらが載っています。
”たんぽぽオムライス”よろしく、真ん中に一文字にナイフを入れて、
左右に押し開けば、半熟の波が広がってゆく。
うひょーってなもんであります(笑)。
おずおずとスプーンを動かして、
チキンライスと玉子とをその壺に載せて、いただきます。
うーん、美味しい、文句なし。
夏の日の仕上げには、
フランボワーズのソルベのカクテルグラス。
鮮やかな紅色と酸味が涼しさを誘います。
初冬の小雨降る日の昼下がりには、隅のテーブル席へ。
カップのコンソメを温かくいただいて、
のんびりと注文の品の到着を待ちます。
スープは、「色々野菜と鶏のコラーゲンスープ」というタイトルでありました。
やってきたのは、なかなかフォトジェニックな”生姜焼き”。
しっかり肉厚、ステーキ形状の豚肉に、
飴色のソースが綺麗に載っています。
ナイフを入れると均質な繊維が解けるように切れてゆく感じ。
そのまま少し急くように口に運ぶと、
しっかり利いてる生姜の風味。
脂っぽい甘さの代わりに赤身の旨味がたっぷりとしているお肉。
うーん、美味しい、文句なし(笑)。
訊けば、豚の銘柄は、岩中豚であるそう。
記憶に残る生姜焼き、レトロワ特製「ポークジンジャー」でありました。
都立小山台高校脇に沿う小路にビストロ「l’Etroit fils(レトロワ フィス)」がある。
ピマンpimentというか、ブリュニョンbrugnonというか。
そんなビストロらしい、紅いテントが目印です。
そのテントに微かに「5」の跡がみえるのは、
以前「ビストロ5番地」というお店であったから。
そして、店名「l’Etroit fils」はどうやら、
武蔵小山の窮屈な店「l’Étroit」の息子「fils」、ということのよう。
息子の方が広くてゆったりしているという、皮肉なことになっています(笑)。
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「l’Etroit fils」
品川区小山3-5-19 [Map] 03-3712-6002

