そんな池上線で蒲田駅へと向かうある日の車窓。 雪が谷大塚を出発し、カーブに沿って進行する電車の窓から、 こんな文字が目に飛び込んできた。 「やっぱりビールがすき。」。 思わず頷いてしまいそうになるフレーズではありませんか(笑)。
雪が谷大塚駅を踏み切り脇の南口から出て、そのまま線路に沿って往くと、 何編成もの車列が待機中の所謂検車区が見えてくる。整列した池上線の車両にはもう、如何にも古いものはすっかりなくなって、 新しめの緑色配色の編成も佇んでいます。
そのまま御嶽山駅方向に進むと、最初の踏切が見えてきた。スポットライトが照らしているのは、 あの「やっぱりビールがすき。」の文字だ。
それは、10席ほどのL字カウンターのみの小さなお店。 カウンターの角っこ指定で共に陣取ったのは、 おれさまに限って鉄ちゃんのハズがありません!と云い切るグヤ兄さんと、 別館・餃子館も立ち上げちゃった、kimimatsu姐さんだ。
早速ビールをと注文んだのは、父さんも嬉しい所謂赤星から。
餃子の前にすっと届いた「いぶりがっこのクリームチーズ巻き」。燻香纏ういぶりがっこが、マスカルポーネとかと妙に相性がいいのは、 どこかで体験済だったけど、 こうしてナルトよろしくぐるぐるしてしまうなんて、いいよなぁ。
“ビールと餃子の店” のお品書きには、 焼き餃子5種類とスープ餃子2種類が並んでる。 まずはおススメ筆頭の「博多一口餃子」から。小振りにして野菜メインの餃子は、ほいほい食べれてしまうちょー軽いヤツ。 タレや醤油も勿論よいけれど、kimimatsu姐さんも仰る通り、 卓上の柚子胡椒のちょんづけがオツでおます。
おお、そう名付けたかぁとも思うのが、 「いっぱん的な餃子」(笑)。妙にジューシーでもなく、たっぷり肉々しくでもなく、ニンニク決め決めでもなく、 成程、ザ定番な感じの安定感だ。
昭和風情な赤星の次は、キリンラガーの瓶でしょう。 実はその辺りの冷えた瓶の在庫は、1本づつだったりするという。 間違いなくビールのお店ではあるけれど、「店狭いので冷蔵庫も小さいんです」と、 それを屈託なく話してくれるところが好ましい。
そこへ熱々の鉄鍋で登場したのが、 「水炊きスープ餃子」に「担々スープ餃子」。博多水炊きよろしく、鶏の旨味が程よく滲んだ白濁スープに、 これ、うまいやんけ、とグヤ兄さん。 ハフハフする餃子にもそんなスープがひたひたと一体となっていて、 ハフハフ、額に汗が浮かびます。
もっとビール欲しいなぁと微笑むグヤ兄さんの手元に、 世にいうNゲージのアイテムが大事そうにあるのはきっと何かの幻だ(笑)と、 かぶりをふって、そろそろお食事ものをお願いします。
まず届いたのが、「まかないチャーハン」。どのあたりが”まかない的”かといえば、それはほら、 半ば解した餃子が入っているところ。 ひと粒ひと粒がぱらっとしたご飯と餃子の皮と餃子の中身と。 いつか真似してやろうと秘かに思うのでありました。
ラストは、「担々スープ餃子」のスープで仕立てた感じの「やぱびラーメン」。「やぱび」ってなんだ?と一瞬思うも、それは「やっぱりビールがすき。」を縮めた呼称。 「やぱび」じゃなくて「やびす」じゃないんかい!と気色ばむグヤ兄さんを宥めるのは、 kimimatsu姐さんにお任せして、と(笑)。
そうそう、「やっぱりビールがすき。」のビールラインナップは、 壁に掛かった黒板をチェックするのが基本スタイル。我等がニッポンのビールで攻めるもよし、 その名をまったく覚えられない黒ビール「ケストリッツァーシュバルツ」や 度数高くて怪しいベルギービール「サタンRED」なんかに挑むのもまた一手だ。
池上線の踏切脇に佇む、ビールと餃子の小さなお店。 スポットが照らすその名は、「やっぱりビールがすき。」。グヤ兄さん、kimimatsu姐さん、ご相伴ありがとう。 そういえば、いつぞやご一緒した「うえ山」や「喜来楽」も踏切近くでありました。
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「やっぱりビールがすき。」 大田区北嶺町3-30 [Map] 03-3720-5541 http://ybs55.com/
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