どうやら火元は、「助六」のすぐ裏手にあったカレーの店「プラクリティ」の外壁辺りだそうで、 所謂不審火、放火によるものと判断されている模様。 もしや地上げ屋の息のかかった輩によるものでは、と邪推しても不思議はないところ。
「プラクリティ」の跡地と一緒に防炎白シートに囲われた「助六」の区画。その並びにあるもう一軒も実は火事の被害を受けて、店を閉めていたのです。
真冬の火災から春を迎えたこの4月。やっと解体の始まったそんな頃。 ビストロ「アン カルネ」が営業を再開しました。
ちょっと表情が変わったとも思う一間間口のファサード。 すぐ隣なんだもの、火事の影響を受けない筈もない。 内装もひと通り手を入れざるを得なかったのだろうなぁと考えながら、 久し振りのカウンターに腰掛けます。見回す店内は意外なほど、以前と変わりない。 マスターに訊ねると、屋根裏や二階にに火が回り、 随分と水を被って駄目になったものもあるけど、 風向きの具合からか、壊滅的な被害には至らなかったそう。 不幸中の幸いとはまさにこのことだ。
営業再開早々のランチは、例えば「チキンソテー(カレートマト)」。ジューシーさと旨みを閉じ込めるように揚げ焼いた鶏肉に、 カレー風味を纏った濃密なトマトソースがよく似合います。
別のおひるの路地にまた往けば、 おきまりランチを示す路上の黒板には、 「ポークグリル ジンジャーソース」のタイトル。豚バラ肉のそれとはまったくベクトルの違う生姜焼き。 キリッと利いた生姜の風味に親指を立てながら、がっつりと噛むポーク。 あしらいには、茗荷のスライス。 うんうん、こんな“生姜焼き”も悪くない。
同じポークのソテーも、ソースが変わると随分と趣きが変わるのねと、 「ポークソテーブラックオリーブソース」。そうそう、「アン カルネ」のランチは、 「ポテト カリフラワースープ」などのスープで始まることもあれば、 「ワカサギのエスカベッシュ」といった前菜で始まることもあるのです。
火事による営業停止から復活を果たした、 八丁堀の路地のビストロ「アン カルネ」。“赤と黒”の配色で目を惹いたファサードは、 優しくナチュラルな表情へと大人の風格を纏うようになりました。
口 関連記事: Bistro & Bar「Un Carnet」で ブランダード昼10食の回数券(10年08月) たん「助六」で たんは焼かずにしゃぶに佳し唐揚げつくねに角煮(09年05月) インド・ネパール創作料理「プラクリティ」でカレーセットのコク旨味(09年06月)
「アン カルネ」 中央区八丁堀3-20-8 [Map] 03-3551-1233
column/03385