そして、とある日の夕方、やっと空席をみつけました。
群青の暖簾を払うと、割と若いお兄さんと目があって、 人数を指で示すと、すっとその角へと促してくれる。 「牛太郎」のカウンターは、少々歪んだコの字型。 腰掛けながら、ホッピーと「とんちゃん」を注文します。
淀みない所作で、 グラスに中身を注いで小振りな褐色のボトルの栓を抜くお兄さん。 グラスとボトルをカウンターに降ろして、ホッピーを注ぎ終えたところへ、 「とんちゃん」の小皿が届きます。
「とんちゃん」は、こってりさっくり。
煤けた壁や天井を見上げて、 積み重ねてきた年月を想い、その雰囲気に浸る。
そして、その額の右手に目を遣ると、 太く寄席文字風に”大入り”と彫った上に「がんばれ!牛太郎」の文字。
幕板の上にグラスを載せて、中身を所望。
小皿に盛る感じでやってくると思っていた「煮込みどうふ」が、 意外にもたっぷりした両手鍋でやってきました。
それは、とろーんとした味噌仕立て。
甘し旨しなモツをツニュっとして、ホッピーをきゅきゅっと。
熱々の豆腐をホフハフとしてまた、ホッピーをきゅきゅっと、ね。
誰もが温まる「煮込みどうふ」は、金280円也。そして、もつ焼きを数本所望する。
「かしら」はもう、ただただ旨い。 「なんこつ」は、鶏皮?な感じもする不思議な食感が面白い。 ちょいレアな焼き加減がいい、「レバー」。 三種類の「つくね」から選んだのは、「めんたい」バージョン。 辛子をちょんして齧れば、なるほどめんたいが顔を出す。 そこそこな辛さと明太子の風味に思わずニッコリだ。
武蔵小山に仂く人の酒場、オヤジの巣窟「牛太郎」あり。
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「牛太郎」 品川区小山4-3-13 [Map] 03-3781-2532
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