その足で向かったのは、阿佐ヶ谷北口の魅惑の呑み屋街「スターロード」方面。 その、ちょっと横丁した路地にあるのが、炭火焼焼き鳥の「鳥久」。 開店時間に即満席になるのが常で、間に合うかしらんと急く足に夏休み帰国中のlaraさんも合流です。
奥側のテーブル席を得られて、振り返った入口の建具には、 「酒」「鳥」の文字が潔く標されて、なんだか気風がいい。 暑さから、最初だけはやっぱり麦酒かと所望して、 如何にも涼しげな「夏野菜の酢づけ」に「水なすづけ」。オクラの産毛に瑞々しさを想います。
お品書きの右からずっと(笑)とお願いしていた、 その筆頭の「やきとり」と「つくね」が届きます。当然ながら、そんじょそこらの出来合い焼鳥とは明らかに違うのがすぐ判る。 ほろほろっと芳ばしく、そのくせ旨味がグッと滲む「つくね」にも思わず唸ります。
空かさず表面張力の日本酒に切り替えて。
そこへやってきたのが「れば」に「しんぞう」。 この晩の出色はなんといってもこの「れば」だ。え?もしかして今さっきのつぶしたて?と慌てるくらいの鮮度を想う。 肌理細やかにふわりとして、レバー独特のコクが軽やかに消えてゆく。 あああ、旨いよ、美味しいよ。
串モノの間を縫って登場が、「もものから揚げ」。十分に叩いた片栗に包まれて、表面に油の気配の窺えないカラッと具合。 火傷しないようにとフーフーしてからそっと噛めば、そっと弾ける旨味と脂の品の良さ。 鳥の唐揚げとはこうあるべしという、見本と思ってよいでしょう。
気がつけば疾っくに店内は満席で、カウンターには浴衣姿のおねえさんがいたりして、粋に涼やかだ(笑)。
「くび肉焼」「かわ焼」「砂肝」「なんこつ」に「伊達鶏」「しそ焼」と、 さらに続々と串が焼き上がり。 どれもイケるお陰で、お酒のお代わりも重なるところ。
「れば」へのトキメキには敵わないながら、この「砂肝」も堪らない串のひとつ。内蔵系に心惹かれつつ、身肉の串の端正な美味しさに和みつつ、であります。
しっかり〆てしまおうと(笑)、「鳥ぞうすい」。納得のスープに淀みなく、旨みひたひた。 ああ、今宵、佳い酔い、心地よい。
阿佐ヶ谷、スターロードの横丁に正しき焼鳥処、炭火焼「鳥久」。満席人気のその訳に素直に頷きながら雨に濡れたスターロードを辿ります。
「鳥久」 杉並区阿佐谷北2-12-22 [Map] 03-3310-2606
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