伊勢うどん「ちとせ」で 地元民の伊勢うどん絵姿に憶える郷愁

chitose.jpg伊勢市駅のお隣、近鉄・宇治山田駅。 ロータリーの向かいから駅舎を眺めると、 そのどっしりした、枯れた風格ある佇まいに感じ入る。 宇治山田駅は、 伊勢神宮最寄りのターミナルとして開設された駅。 往時より長距離列車の終着駅として賑わったという。

ただ、昼下がりの駅周辺は人影も少なくて、長閑かな空気。chitose01.jpgおかげ横丁から運んでくれたタクシーの運ちゃんは、 「ちとせ」に行くと云ったら、「お、よく知ってますね〜」と褒めてくれた。 いや、受け売りなんですけどね(笑)。

駅前からすぐの稲荷神社の角を曲がったところに見つかるのが、 伊勢うどん「ちとせ」の看板。 如何にも町のお食事処らしい佇まいに癒されてしまいそうです。

chitose02.jpg 古き額に収めた品書きは、「伊勢うどん」から「中華そば」500円まで。 それとは別に「伊勢うどん」あれこれの品札も並んでいて、 中には「冷しいせうどん」なんてのもある。chitose03.jpg「中華そば」も気になりつつ、初志貫徹「伊勢うどん」をいただきます。

柔和なおかあさんがとどけてくれた「伊勢うどん」。chitose04.jpgやっぱりこのシンプルな絵姿に慈しむような郷愁を憶えてしまう。 伊勢に所縁がある訳でもないのにね。

どうしても、さっきのおかげ横丁「ふくすけ」の伊勢うどんと比べるところから入ってしまうのだけど、「ふくすけ」よりやや汁が多いかなという感じ。chitose05.jpgそして、丸い断面を思った「ふくすけ」に対して、やや四角い断面を思います。

優しく、底の方から天地返しをするように醤油汁をうどんに絡ませます。chitose06.jpgみるみる赤茶色く染まったうどんをそっと啜る。 魅惑的に思った麺の表面にあるハリのようなものは、 「ふくすけ」のうどんの方が如実であるものの、 量感のある柔らかさと麺自身の甘い味わいがやっぱりいい。 たまり醤油と出汁のバランスでいうと、やや醤油が強めかな。 なるほど、これが地元民に支持され続けている「伊勢うどん」なのですね。

宇治山田駅近く、大正6年創業という伊勢うどんの老舗「ちとせ」。chitose07.jpgふわふわと柔らかい太うどんとたまり醤油に負けないしっかりした出汁の汁が絡まる、 甘い愉悦。 食べるにつれ、「伊勢うどん」の魅力にどんどん嵌りそうな、そんな予感がいたします。

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「ちとせ」 伊勢市岩渕1-15-11 [Map] 0596-28-3879
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