小さな暖簾を潜ると、店内の壁天井も黒塗りの。 券売機に向き合ってから厨房を眺めると、大きな羽釜にぐらっと煮えた茹で湯。うどん屋さん御用達とも云えそうな玉網に鷲掴みして重さを量ったうどんを投入している。 折角の大鍋なのでそこへ泳がすようにする方がいいようにも思うけど、玉網を使った方がなにかと始末がいいのだろうね。
券売機でぽちとする、「肉汁やZERO」のメニューは5本立て。 「魚介汁のつけうどん」に「肉汁のつけうどん」が軸で、「辛い魚介汁のつけうどん」「スパイシーカレー汁のつけうどん」に唯一のどんぶりモノ「あったか肉汁のつゆうどん」。 「魚介汁」も気になりつつも、やっぱり勿論、「肉汁のつけうどん」をお願いします。
カウンターには、にんにくチップに魚粉、辛味の容器が準備されている。 七味や一味は、うどん屋さんでも定番だけれど、にんくにチップや魚粉は、 旧来のうどん店にはおよそないもの。 つけ麺アプローチのうどん店であることがよく判ります。 そして、”肉汁や”であることに、武蔵野うどんの気配を想うのであります。
ころんとしたフォルムのどんぶりのひとつに肉汁、もうひとつにうどん。 トッピングのゆで野菜越しに覗くうどんは褐色がかっていて、 漂白しちゃった粉のうどんとは違う景色。 肉汁はというと具沢山。 バラ肉をはじめ、油揚げに揚げ玉、長葱にほうれん草、 こっそり茄子の素揚げなんかも入っています。
ゆで野菜と一緒にうどんを引っ掴み、たっぷりの肉汁にどぼっと浸し、大口開けて迎えます。 ああ、硬めに茹でて氷水できゅっとシメたうどんから、粉の甘み風味が噛むほどに滲み出る。 まさしく、武蔵野うどんの延長線上にあるうどんだとひとり合点して(笑)、嬉しくなる。 昨今の濃厚系つけ麺からしてみればあっさりの、うどんのつけ汁としては油ノリ十分の肉汁がまた、なんちゃって武蔵野うどんよりも武蔵野うどんチックで好ましいのであります。
武蔵野台地の一角で、 新進の武蔵野うどんの店だと敢えて思う「肉汁やZERO」。ラーメン系太麺のつけ麺をわしわし喰らうのもいいけれど、 地粉的うどんのわしわし喰らいもまた魅力的なもの。 柔らかめの指定もできるようなので、 今度は、うどん柔めで「魚介汁のつけうどん」にしようかな。
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「肉汁やZERO」 練馬区石神井町7-1-3 TビルB1 C号室 [Map] 03-3996-8386
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