
線路を潜り、五叉路のロータリーを経たライナー通りRainerstraßeがミラベル宮殿に差し掛かる。
会議場の建物とその先の小さな緑の丘を右に見ながら、左に折れたゆったりした通りがFranz-Josef-Straße。
今朝は、新緑の並木揺れるこの通り沿いのカフェで朝ごはんと洒落込みましょう。
まだ気温の上がらない外テーブルにひとの姿はないけれど、ちょうど開店時間を迎えた頃。

趣のありそうな店の中へと、おはようございます。
もう既に先客さんのあるテーブルたち。
にこやかに迎えてくれるKellnerin。

ノスタルジックに落ち着いたワインレッドの絨毯と調度の張り布。
木軸で組んだ格子に銅板を嵌め込んだような天井が何気ない情緒を生んでいます。
煙草エリアを離れて、右手奥のテーブルに席を得ました。
伝統的なスタイルのヤツがいいなとコージーな朝食gemütlich frühstückenとあるメニューから選んだのは、klassisches古典的なWiener ウイーン風Frühstück朝ごはん。
オレンジジュースとお冷の小さなグラスとカプチーノのカップが小さなステンレスのトレーに一緒に載せられてくるのが可愛らしくも面白い。

定番テーブルパンのハムサンドSchinkenSemmerl。

ハムや胡瓜、トマト、サニーレタス、チーズを挟んだカイザーセンメルが素朴に美味しい。
2 eier im Glasとは、口の広いグラスかなんかに入った玉子ふたつってことなンだろなぁとなんとなく考えていると、届いたそれはまるでパフェ仕様(笑)。

たっぷりかかった粗挽きの胡椒越しにパフェスプーンで崩すと半熟玉子が待ってましたとばかりに崩れて、とろんとした黄身が顔を出す。

どれどれと早速スプーンの先を口に運べば、麗しき見た目通りに素直に美味しい。
云ってしまえばただの半熟玉子が、妙に新鮮に映るのは、半熟玉子とか味付玉子は箸や蓮華に載った状態でいただく機会が圧倒的に多い所為かも(笑)。
1953年創業の街角の老舗café「wernbacher(ヴェルンバッハー)」。

二次大戦前にCafé Großglocknerという名でオープンし、家具マイスターたちの集会所や保育所、ザルツブルク最初のディスコScotch Clubなどといった変遷を経て、ファミリー「wernbacher」の名で1953年にふたたびカフェとして生まれ変わったということのようです。
歴史のあるカフェ、一朝一夕では培えないものをもっているようで、いいね。
「wernbacher」
Franz-Josef-Straße 5 5020 Salzburg
[Map] +43(0)662 88 10 99
http://www.cafewernbacher.at/
column/03132