ザルツブルク駅から鈍行に乗って、
ウィーン方面へ数駅。
間違ってひとつ手前で降りてしまった駅へと迎えにきてくれた車は、一面真っ白の雪原を走り抜け、Straßwalchen(シュトラスヴァルヘン)へ。
雪原を走ってきたものだから、随分と郊外の山の中に来ちゃったような気もしたけれど、そこは小さな町の真ん中あたり。
どなたかの邸宅のようなレストランに招かれました。
全面の硝子窓から陽の光が入って、明るいフロア。
招いてくれたご家族は、如何にも常連然としてヤァヤァと、L字を模るフロアの一番奥のテーブルへと一直線に向かいます。
ラズベリーを浮かべて綺麗な泡で乾杯。
ところが、荷物を動かそうとした袖口がフルートグラスに触れて、早速倒すことに。
あわわ(笑)。
改めて、プロセッコのグラスをいただいて、
前菜のお皿を見詰めます。
アルミホイルに包まれているのは、小さな小さなジャガイモ。
その上に鱒の燻製と鱒の小さなイクラとが親子でのっています。
ザルツブルクのクリスマスマーケットで有名な、でっかいジャガイモのホイル包み料理Ofenkartoffelの極ミニチュア版という、ちょっとしたシャレみたいだ(笑)。
お、帆立だね、と覗きこんだ皿には、バターソースに浮かんだ帆立とウサギ、鞘隠元。
内側をレアに、湯引きするように火を入れた帆立とバターソースの相性やよろし。
そして、ウサギが旨い。
どうもパサついた笹身のような印象のあったウサギ肉だけど、これはジュシーで味わい深くって、いい。
そこへ小さなコーヒーカップが運ばれてきました。
あれ?エスプレッソにはまだ早い。
そう覗き込むようにすると、滋味たっぷりの匂いが鼻先を擽ります。
それはすっきりと香ばしく、コクと旨み豊かなザリガニのスープ。
うわぁこれは堪らん。
カップに残った泡もスプーンでこそげて舐めてしまいます(笑)。
メインはというと、鱸のムニエール。
カラフルな野菜たちを下敷きに香ばしそうに皮目の焼色を魅せる。
まさにその皮目の香ばしさと白身の甘さとを真っ直ぐ堪能するお皿。
オーストリアの地場品種ツィアファンドラー(Zierfandler)がよく似合います。
アイスワインは好きかと訊かれれば、大好きだと答えます。
貴腐やアイスのとろんと甘いワインも実は好物なのであります。
そのグラスをゆっくり愉しんでいるところへ届いたのが、
たっぷりしっかりしたカクテルグラス。
「Früchtebecher」は、つまりはフルーツパフェ。
おお、冬のオーストリアで
「パフェラッチ!」だ。
ヨーグルトと生クリームにからまるベリーのソースとmarillen(アプリコット)のシャーベットが印象的です。
すっきりゆったりした空間で仕立て明朗なお皿たちと地場のワインがいただける、
Kulinarik & Wein、Gasthaus「Kirchenwirt(キルヘンヴィルト)」。
迎えてくれるのは、シェフのNorbertとソムリエールのMonika。
“教会近くの宿(Kirchen)の主人(wirt)”という店の名前なのは、近くの教会と関係があるのかな。
今度は季節のよい頃にお邪魔して、テラスのテーブル席でオーストリアのワイン片手に。
「Kirchenwirt」
kirchengasse 11 5204 Straßwalchen
[Map] 0 6215 20734
http://www.kirchenwirt-strasswalchen.at/
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