日本酒と干物と牡蠣「酒徒庵」で 日本酒でやる怒涛の牡蠣づくし

shutoan.jpg四谷に”日本酒と干物と牡蠣の店”を標榜する店があるという。 ありそでなさそなそのフレーズが、 当然ながらただただ気になります。 これは行かねばならぬと思うも、 ちょうど時季は師走も押し迫った頃。 問い合わせると、 忘年会らしき予約で連日満席のご様子。 隙間のように空いていた日取りに合わせて突撃です。
入口にある「洋食エリーゼ」を店先から横目で眺めつつ、しんみち通りを往く。 クランクして進んだ右手のビルにあるのが目的地「酒徒庵」です。 店先にはやはり、「満席」のお知らせ。 併せて、日本酒の専門店ゆえ、日本酒を呑み愉しもうとする方以外は遠慮願いたいと至極当然の断り書きがされています。 意外やずずずいっと奥行きのあるフロアとなっていて、案内されるまま一番奥のテーブルに着きました。 shutoan02.jpg 口開きにいただくのは、浅蜊の味噌汁。 大塚の居酒屋「こなから」の初めが蜆の椀であったことを思い出します。 まずは乾杯に、と紹介されていたのが、山口の「flight of wharf」。 雁木 活性にごり発泡純米生原酒、とあって、さらに<酒徒庵 特別誂え>とある。 それゆえ、ここ「酒徒庵」でしか呑めない酒ということになるらしい。 シャンパン的プロセッコ的日本酒で乾杯というのも一興だねと全会一致でオーダーです。shutoan04.jpgshutoan03.jpgガスを抜きながら慎重に抜栓してくれる「flight of wharf」のボトルは、澄んだコバルトのブルー。 白濁した滴をグラスに注げば、ぴちぴちと炭酸ガスが弾ける。 乾杯して口に含めば、ああ、すっきりフルーティな呑み口でお酒を呑んでる感じでは全くないのが危険であります(笑)。 捲るお品書きには、日本酒あれこれのラインナップに続いて、珍味・摘まみの類の酒肴に灰干し色々、惣菜にお食事が並んで目移り必至。 そこに更に、産地別”今日の牡蠣”が十数種類に「牡蠣料理」がこれまた十数種類。 この時点で牡蠣料理を端からやっつけることは不可能だと知り、早くも二回戦目の予感がしてきます。 やっぱり早速、生牡蠣からいただきましょう。 余り耳慣れない北九州エリアのものからいってみようと、 長崎・小長井モノに福岡・門司港モノ。 shutoan05.jpgshutoan06.jpg クリーミーで奥行きのある甘みタイプ、という解説をなるほどと横目にしつつ、両者の違いを比べるのもまた愉しいね。 これも珍味だよねとお願いした「牡蠣の塩辛」は、磯っぽさ満開かと思えば然にあらず。shutoan07.jpg 塩辛であるも、牡蠣のペーストのようでもあります。 「静岡由比 桜海老釜揚」や「灰干し 銚子 鯖」を挟んで今度は、三重のお酒で三重の牡蠣をいただこうという趣向に臨みます。 三重の牡蠣と云えば、的矢か鳥羽か。 的矢の牡蠣をちゅるんといただいて、なみなみ注がれたグラスのお酒を口に含むと一瞬、その酸とボディに白ワインで牡蠣をやっつけている感じになる。 shutoan08.jpgshutoan09.jpg そんな三重のお酒は、四日市タカハシ酒造の純米酒「天遊琳」。 ラベルにはなんと、<牡蛎限定 酸度三>とある限定品だ。 シャブリを呑んでいるかのような錯覚は、強ち間違いではなかったのだね。 そんでもって、さらに北上して岩手の「赤崎」を焼きでいただきます。shutoan10.jpg熱々の殻を外すと、ふふんと磯の風味。 やっぱり火を通すと、少し縮んだ身から澄んだ野性味がより感じられるようになって、いいね。 さてさて、沢山ある「牡蠣料理」の中からも幾つかいただきましょう。 いつか家でもやってみようと思っていたこともあって、気になる「牡蠣オリーブオイル漬」は、勝手に抱くイメージよりはやや浅い漬かり具合か。shutoan11.jpgこれには、「天遊琳」がふたたびよく似合います。 青森のお酒をと「豊盃」純米吟醸をいただいて、「牡蠣の時雨煮」。shutoan12.jpg例えば、柳橋「小松屋」の「かき佃煮」のように、一定の保存を念頭にじっくり炊いたものとは違って、塩辛くなく柔らかな仕立て。 でもお酒が進む酒肴であることには違いありません。 昼どきに「銀座 三州屋」で偶然逢ってしまったというtakapuのむちゃんに、やっぱりこれは外せないよねーと「牡蠣フライ」。 それは「三州屋」のものとは路線異なる、衣細やかなクリスピータイプ。shutoan13.jpg香ばしい衣との一体感もまた、カキフライの魅力なのだと何十回目かの再認識を(笑)。 散々食べて呑んでの挙句の仕上げに「牡蠣のチーズリゾット」。shutoan14.jpgいっそもっと牡蠣の身を刻んじゃってもいいのかもなぁと思いつつ、いやこんな感じがいいのかもとも思いつつ、あっという間にぺろんと食べてしまうのでありました。

接客も気持ちいい、日本酒と干物と牡蠣の銘店「酒徒庵」。shutoan15.jpg「酒徒」とはまさに、酒を呑むひと、酒好きのひと。 それと同様に、いやそれ以上に牡蠣好きのひとの店でもあります。 オイスターマイスターのいる店「酒徒庵」。 ああ、怒涛の牡蠣づくし、愉しからずや。 口関連記事:  大衆酒場「三州屋」で 夜のかきフライ風格の表情弾ける魅力(10年10月)


「酒徒庵」 新宿区四谷1-23上野KGビル1F[Map] 03-3351-6119  http://www.shutoan.com/
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