ちょっとした評判になったのは、開店当初のことだったか。
お昼に行ったら営ってなかったり、それじゃぁと夜にいったらまたやってなかったりで、それっきりになっていた裏築地の「からめんや えん」。
思い付くまま徘徊した築地で、暗がりに浮かぶ赤い看板を眺め、あぁそうだったと思い出す。
今夜は営業しているようです。
くすんだ瓢箪柄の暖簾を潜ると、先客さん、なし。
右手頭上に小さなテレビがあって、そうすると、まぁそれを眺められるポジションにという発想になるのはオジサンの習性か(笑)。
「からめんや」と云うくらいですもの、赤いですねー。
そこにニラの緑色と温玉の黄身を覆う白がコントラストを魅せています。
普通の3辛でめちゃ辛かったら吃驚だけれど、どうなんだろうと恐る恐るスープを啜ると、ン、お、おお、辛いけどそんな強烈でもない。
粉末の唐辛子で赤くしているのではなくて、どちらかというと唐辛子の皮を沢山浮かべて赤くなっている。
もうひと口啜ってみて、あぁこれくらいがギリギリ程よいところかもなぁと思いつつ、そのアジアっぽい風味にじっと湖面を眺めたりします。
ではではと、その湖面に箸の先を突き入れて引き上げた麺に、一寸びっくり。
蒟蒻をそのまま麺にしちゃったような見映えの細い麺。
フォーや冷麺のような透明感のある蕎麦、といったところでしょうか。
そうか、それで壁に「麺にそば粉を使っているので、アレルギーの方は御気をつけ」と貼ってあるンだね。
ただ、蕎麦の粉っぽさはなく、くにゅにゅるんと口元を滑る感じは、見た目通りの蒟蒻チックでもある。
うん、面白い。
勝どき寿司大別館の真向かいにある「からめんや えん」。
宮崎は延岡あたりを本拠とする「桝元」というお店の「辛麺」がルーツらしい。
カウンター越しに愛想よく、冗談のひとつでも交わすコミュニケーションが叶いそうな雰囲気が漂えば、ちょっと愚痴のひとつも呟きたいサラリーマンのちょい呑み処ともなりそうなのだけど、ね。「からめんや えん」 中央区築地7-15-8 西春ビル[Map] 03-3546-0399
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