そうだ!と急に膝を打って、浅草線を五反田で途中下車。
勝手知ったる桜田通りの右手を下っていって、いっつも気になる旅館「海喜館」を横目にその脇を抜けていく。
それにしてもこの古色蒼然とした旅館は今も営業しているのだろうかなぁ。
怖いもの見たさで泊ってみたい気もする。
そんなことを考えながら、自然と足が運んでくれたのは、そう、「うどん」の赤い庇の前。
今夜の思いつきは、
「すーぷ」でない「うどん」の「かれー」を食べてみたい!ってこと。
「うどん」の「かれー」と云えばまず思い浮かぶのは「すーぷ」な辛い「かれー」なんだけど、「うどん」には「中辛とろっとかれー」というカテゴリーもあるのです。
いつもの空気感のマスターに「とろっとぽーくぅ」とお願いすると、「時間かかりますけど」。
「いいですよ、お願いします」と応えてふと、
ツートンに塗り分けた壁を見上げると青く塗った部分の天井近くに「ホノルル!」と書いてあるのが目に留った。
なんだろと思って訊けば、「目指せ!ホノルルマラソン!ってことで(笑)」。
なるほど、年末のホノルルに向けて、常に準備中ってことなんだね。
やや待って届いた「とろっとぽーく」は、角の丸まったジャガ芋が顔を覗かせる、見かけは普通のカレー。
ソースポットから一気にライスの上に流しかけて、なんだか急かされるようにスプーンを動かします。
嫌味のないコクと円やかなるとろみにたっぷり含む旨味。
おおお、「うどん」は「すーぷ」のみならず、「とろっと」もイケる。
すーぷかれーの刺激が揮発する感じとは明らかに違うベクトルなれど、スパイスの風味がふくよかな美味しさに導いてくれている。
何気ないのに、これも「うどん」だなぁと思ってしまうのでありました。
そうとなれば、「夜とろ」「濃厚甘口」なんてところも気にかかると、再び訪れた環六近く。
今度はカウンターの一番手前に陣取って、「濃厚甘口」に「焼とまと」のトッピングをお願いしました。
前回同様、どどどと一気にライスの上に流したかれーに生クリームが滲み、トマトの赤が色を注す。
確かにコクが増しているのに、それが鬱陶しくなく、まろみのように感じるかれー。
辛さはほぼないのに、食べるにつれ額に汗が浮かんでくる。
これもまたイケるじゃん。
焼とまとをトッピングしたのは我ながらいいアイデアだったなとひとりほくそ笑みながらスプーンを動かしていたら、背中から「あれれれぇー!」という声を浴びた。
振り返るとそこには、まさぞうさん。
あれあれ、ここで逢うとは奇遇だねー、 と隣の止まり木を勧める。
わざわざ五反田まで足を伸ばして、ちょこちょこ通っているそうで、マスターや奥さんとも親しいのだ。
へー、知らなかったなぁ。
すーぷかれーが絶品だと巷に知られた、かれーの店「うどん」はね、
実はとろっとかれーもイケるンだ。
またふらっとお邪魔して、例えば「濃厚辛口」あたりを所望するので、マスターよろしくね。
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「うどん」
品川区西五反田2-31-5
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