ちょっとした評判になったのは、開店当初のことだったか。
お昼に行ったら営ってなかったり、それじゃぁと夜にいったらまたやってなかったりで、それっきりになっていた裏築地の「からめんや えん」。
思い付くまま徘徊した築地で、暗がりに浮かぶ赤い看板を眺め、あぁそうだったと思い出す。
今夜は営業しているようです。
くすんだ瓢箪柄の暖簾を潜ると、先客さん、なし。
右手頭上に小さなテレビがあって、そうすると、まぁそれを眺められるポジションにという発想になるのはオジサンの習性か(笑)。
「お飲み物は?」。
どこか伏し目がちな兄さんが、そう訊いてくれる。
壁の品書きをにはなるほど、居酒屋的メニューもひと揃えしている様子。
まぁ、飲んでもいいけど、例えばビール呑んですぐラーメン、というのがどうも好きじゃない。
「いや」とメニューを眺めて、「普通の3辛に、牛すじと温玉のっけで」と云うと、落胆したような、「あ、そっすか」というような、陰鬱な背中で厨房に戻る兄さん。
なんだか〆にラーメン出す居酒屋で、ラーメンだけ注文んじゃう禁じ手を犯しているような気分に一瞬なるも、いやいや阿る必要はないと気を取り直します。
「鶏チャーシューもトッピングしてもらえます?」と厨房に声を掛けると、「ないンです」と意外なお応え。
え、あ、そっすか。
こちらが、無言のままやってきました3辛のドンブリです。
「からめんや」と云うくらいですもの、赤いですねー。
そこにニラの緑色と温玉の黄身を覆う白がコントラストを魅せています。
普通の3辛でめちゃ辛かったら吃驚だけれど、どうなんだろうと恐る恐るスープを啜ると、ン、お、おお、辛いけどそんな強烈でもない。
粉末の唐辛子で赤くしているのではなくて、どちらかというと唐辛子の皮を沢山浮かべて赤くなっている。
もうひと口啜ってみて、あぁこれくらいがギリギリ程よいところかもなぁと思いつつ、そのアジアっぽい風味にじっと湖面を眺めたりします。
ではではと、その湖面に箸の先を突き入れて引き上げた麺に、一寸びっくり。
蒟蒻をそのまま麺にしちゃったような見映えの細い麺。
フォーや冷麺のような透明感のある蕎麦、といったところでしょうか。
そうか、それで壁に「麺にそば粉を使っているので、アレルギーの方は御気をつけ」と貼ってあるンだね。
ただ、蕎麦の粉っぽさはなく、くにゅにゅるんと口元を滑る感じは、見た目通りの蒟蒻チックでもある。
うん、面白い。
その蒟蒻的蕎麦麺をにゅるにゅると平らげると、十分にスープが残る。
こうなるとやっぱり、「ご飯の小さいのください」ということになる。
ズズズとレンゲで啜る辛い雑炊も、ギリギリの3辛ならば愉しめる。
あ、牛すじが掬えたね。
ただ、こうしてたっぷり啜ってみるとこのスープ、唐辛子由来の辛さというよりも、”塩辛い”と表現するのが正しいのかもしれません。
勝どき寿司大別館の真向かいにある「からめんや えん」。
宮崎は延岡あたりを本拠とする「桝元」というお店の「辛麺」がルーツらしい。
カウンター越しに愛想よく、冗談のひとつでも交わすコミュニケーションが叶いそうな雰囲気が漂えば、ちょっと愚痴のひとつも呟きたいサラリーマンのちょい呑み処ともなりそうなのだけど、ね。
「からめんや えん」
中央区築地7-15-8 西春ビル
[Map] 03-3546-0399
column/02981
うーむむ。面白そうな築地ネタ!と思いつつ、汗かき体質の
ワタシは微妙にハードルが高いお店だなぁと思ってましたが。
お店の雰囲気も、ちょっとビミョーですか・・・☆
なんとなく、日本橋の「太陽の・・・」某トマトラーメン店の
ルポを拝見したときの印象に近いような(汗
Re:つきじろうさま
あれ?あ、そっか、未訪ってことなのかな。
うん確かに、辛さに応えて、額やら耳の裏やらに噴き出す汗が…。
あれ?もちょっとどうにかならんかなぁと思ったあたりが伝わっちゃいました?あれ?