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四川料理「川菜館」で 涼衣白肉水煮牛肉沸騰魚辛旨いの愉しさ
駿河台の一角に四川料理の佳店として知る人ぞ知る館があるという。
思えば、辛いモノは断然苦手だった頃からそれなりにちょっとづつ修行を積んできて、全く駄目ということではなくなってきているものの、例えば上野毛「吉華」で体験した息苦しい辛さと痺れは許容範囲のすっかり外にある。
その辺りにちょっぴり気を揉みつつ、新お茶の水からアプローチ。
階段を二階へと辿ります。半円型のテーブルに待ちかまえていたのは、つきじろうさん。
そして築地王さん、八面大王さんが合流しました。
ハートランドで乾杯して、メニューを物色。
汗っ掻き自慢のつきじろうさんも辛いモノで汗だーだーになっちゃわないかと、
予防線を張りたい構え(笑)。
一方辛いモノも大好物な築地王さんがダイジョブダイジョブと仰る。
ま、こうなりゃ(笑)食べてみて楽しまなきゃね~とお皿のチョイスを始めます。
まずやってきたのは、「涼衣白肉(皮付き豚バラ肉ときゅうりの創作料理)」。縦に薄くスライスした胡瓜と、その胡瓜と形を揃えるように縁取りのあるバラ肉が薄くスライスして添えてある。
それが手桶の取っ手のようなところに洗濯物を干すかのように二つ折りに吊してある。
初めてみる光景に思わずへーと云いながら、その胡瓜と豚バラを一緒に箸で掴んで、その下に用意された赤い液体に恐る恐る浸して食べる。
ん?お?意外とそんなに辛くない。
とろんとした滑るような甘さに似たその中に香辛料諸々が利いていて、かの辺銀さん「石垣島ラー油」に連想が繋がるタレだ。
どこかでこのタレ使えるかもと、下げられないように確保しておいたりして(笑)。
ハートランドに続けて、辛い時対処も考慮して(?)、ビールのピッチャーをもらう。
そして、「四川定番料理」から肉と魚の料理を選ぶ。
「水煮牛肉」は、わしわしと盛られた牛肉の赤い色はもとより、そこに盛り載せるようにされた粉の赤褐色もキケンな雰囲気。再び恐る恐る小皿にとって、口へ。
山椒のビリビリに身構えた肩がふっと軽くなるくらい、意外やそんなに辛くない。
いや、辛いは辛いけど、角が立った辛さじゃなくて、丸さのある辛さなんだ。
お魚料理でと定番から選んだもうひと品が、きんめ鯛を使っているという「沸騰魚」。
届いたドンブリを覗いて思わず、うおー、と洩らしたのは、そこで油が沸き立っていたから。
泡が収まるに従って浮かび上がる唐辛子。
とうとうキタかと観念するように箸を伸ばして、白菜やきんめの白い身辺りを取り分けてじっと見る(笑)。どれどれとおずおずと口にするとこれが、きんめの身がほっこりと甘く、旨い。
辛旨いとはこふいふことも云う、ということにしちゃっていいでしょうか、って感じ。
辛く、というよりは白身を薫り高く包み込んだんだよっ、てな料理だ。
でも、つきじろうさんのオデコで汗が光ってる(笑)。
豚牛魚ときたら、鶏もいただかねば(?)ということで、
思わず”口水”(=涎)が出ちゃうという名の鶏「口水鶏」。次第に安心しつつ箸を伸ばしている自分に気がついて、少しはオトナになったかと腕を組む(笑)。
ちょっと毛色を変えてと「炒双緑」。
ブロッコリーとセロリをXO醤でピリ辛に炒めたもので、うん、これも安心な美味しさであったりする。
お酒はとっくに長い口から注ぐ紹興酒に変えている。
ここから定番系で仕上げに入るぞと「鐘餃子」に「麻婆豆腐」。
特製ラー油のかかった水餃子をつゅるんと嚥下して迎える紙鍋。
ここの「麻婆豆腐」は蛇腹に折った紙鍋でやってくるのだ。
ここまでくると身構えることはもうなくて、ほんのちょっと片栗少なくてもいいかもなんて口走る(笑)。
〆にはやっぱり、汁なしという「本場四川担々麺」。小振りな器がちょうどいいやとひと啜り。
そこでふと思い出すように、冒頭の「涼衣白肉」に添えてあったタレをちょろろと垂らすとまた旨い。
刺すような辛さ・痺れで辛痛いお皿に出くわしたらどうしようと、
ちょっと気を揉みつつ訪れたお茶の水仲通り。
ヒ~!となるどころか、甘ささえ思わせるような赤い料理たちの辛旨さを愉しませてくれました。
きっと唐辛子そのものも違うのだろうね。「川菜館」の名はそのまま、四川の料理の館、という意味だそうです。
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「川菜館」 千代田区神田駿河台3-7-7 [Map] 03-3295-3818