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RESTAURANT「SANT PAU」で イベリコ豚プルーマと温かな宴
一時東京駅の日本橋口辺りに通っていた頃にお昼処に困って、およそ全店制覇してしまっていた日本橋コレド。
でもその裏手の別棟ANNEXにある「サンパウ」には、
未踏でありました。
お値段的敷居が高く思えて、まるで水族館に初めて行った子供のように(笑)、硝子越しに見通せる一階の厨房を覗いていたりしていたのでありました。
それがこの度、図らずもその「サンパウ」に参ずる機会がやってきた。
ずっと気になっていたレストランへと招いてくれたのは、くにちゃんとその奥さま。
そう、今日は、ご夫妻の結婚をお祝う席なのです。
一階のシックなレセプションからそのまま二階へと上がったところが、
ウェイティングを兼ねたBar&Cigar Corner。
シャンパンに口をつけたところで、メインホールへと誘われました。
勝手に抱いていたイメージよりはこぢんまりとして、それが寄り添うように温かな宴を予感させてくれます。
乾杯の音頭はご存知、築地王さん。
おめでとうと掲げたグラスの紅い滴は、
ロイヤルウェディングの乾杯カヴァだと同席のロレンスさんの記事にある。
残りをひと息に呑み干して、辛口の白と紹介のあった「Altos del Majanar AIREN 2007」へ。
まずは、アミューズ「2 Micros」のふた品。
イベリコに添えたオリーブオイルのジュレがはっとするほどにイケる。串にした小皿は、プラムをふわっとした白子のようなソースと一緒に網脂の一種で包んだものだという。
前菜は、「車えびのタルタル ~Tartar de Langostinos」。タタール風にたたいた車えびの印象を抱く前に、廻りで煌く苺やキウイ、オレンジ、マカデミアナッツなどなどの彩りをしげしげ。
トッピングの粉チーズのような、パン粉のような粉末はなんだろう。
円に散らした塩をアクセントにいただけば、海老の身の甘さが引き立つ。
白のグラスをお代わりして、魚料理「杉の香りのヒラスズキ ~Llobarro “Fumat 10 Segons”」。
杉のチップでほんのり10秒だけスモークしたという、ほっこりしっとりした白身。
平鱸というのは珍しい食材なのじゃぁないかな。
そこへトプっと載っている青菜の中にも白のソース。
零さないようにひと口で掬えば、濃縮した旨味が弾ける。
プロフィールに交えて、食いしん坊新郎×食べるの大好き新婦たる、それぞれの逸話があれこれ微笑ましく紹介されて、和やかに時間が流れます。
赤のLegado Muñoz – Garnacha 2005にワインが変わって、メインお肉篇。
等間隔で並ぶ紅い結晶は「イベリコ豚のプルーマ ~Pluma Iberica」だ。
プルーマとはヒレ上の部位を指すそう。
そっと愛しむようにしたソテーの具合とただもうズルイ!と心の声を叫ばせる赤身肉の薫り高さ。甘めのソースと一緒にとろっと融けるようでいて、脂のいやらしさとは縁遠い高貴な豚さんだ(笑)。
そこへパンケーキ的つけ合わせというのが、不思議な組み合わせなのねン。
くにちゃんとの幾多の交流の遍歴が愉しいヒロキエさんのスピーチに隣のつきじろうさんやのむのむさんと笑い合ったり、肉声でホールを震わせた55aiaiさんの独唱に浸ったりと、祝福の温かい空気が満ちてきます。
「フルーツベースのデザート」に続くPastelは、「フランボワーズ」。
ケーキ入刀の、つまりはその一片一片がこのラズベリーの円筒形なんだ。
そしてプティフール「4種の小菓子」でコーヒーを啜ってひと心地。楽しいひと時は、あっという間に過ぎてゆくのですね。
星の数云々はさておき、やっぱり日本を代表するスペイン料理の一軒たる「サンパウ」。
きっとあちこち探して悩んで選んだウエディング・レセプションのステージが此処、
「サンパウ」だったのだね。くにちゃん&奥さん、改めておめでとう。
お陰で、あれこれもちょっと識りたいと、再びこの扉を開けたくなっちゃったじゃん、もう(笑)。
「SANT PAU」 中央区日本橋1-6-1コレド日本橋ANNEX [Map] 03-3517-5700 http://www.santpau.jp/