西新橋交差点から虎ノ門方向へ二本目の筋。
歩道に立つ黒いスタンドサインには、
「現代青森料理」と赤い文字。
「Bois Vert」は、「ボワ ヴェール」と読んで、
仏語で”緑の森”。
そして、碧い森転じて”青森”。
そのまんま「青森」を意味する意図でつけた店名ということになるね。
青森の料理の、昔からそして今でも愛されている味を独自のスタイルでさらに親しみやすくアレンジ。素晴らしい青森の食材を知って欲しい、という。
青森と云えば、風土に根ざした素朴な魅力をイメージするけど、さてどんな展開で迎えてくれるのか、まずはひる時から覗いてみよぉかな。
地下への階段を降り、テーブルの間を抜け、正面のカウンターへ。
厨房との間を隔てるパネルの前には、「津軽海峡」とか、吟醸粕取焼酎「稲本屋利右衛門」などなど青森県産の酒・焼酎がずらっと並べられていて、ちょっとした壮観だ。
“ワインの店”という趣とはちょっと違う気もするけど、まったくもって文句なし(笑)。
ランチメニューは、A~Eの5種類。
Aの「牛モツと天間アピオスのボローニャ風スパゲッティ」も気になりつつ、「青森の食材使ってます!っていったらどれになります?」と訊くと、即座のお応えがBの「青森魚介のラグー カレークリームスパゲッティ」。では、そのように。
まずすっと運ばれてきたのがカップのスープ。
「青森野菜の津軽味噌スープ」と紹介してくれる。
スパゲティに味噌汁、ときたかと思いながら啜ると、これがなかなかイケる。
味噌がいいのだなぁと、じっとスープの水面を見つめちゃったもの(笑)。
グリーンピースが彩り以上の量がのったスパゲティが届きました。
ラグーにした魚介がなにかと尋ねると、平目に鯛、鱒だという。
カレークリームと題しながらカレーの風味はほとんどなく、よくみるとソースに細かく刻まれた白身の断片が窺えて、食べるほどに煮込んだ柔らかなコクがひたひたと輪郭をつくってくる。
青森産ではないというグリーンピースのあしらいに鼻白みそうになるところをラグーが払拭。
奇抜さが先行するようなお皿たちではないようです。
それでもやっぱり、ランチだけで「ボワヴェール」が唱えるところの「現代青森料理」の本懐を識るのは無理がありそう。すると忽ち、夜に来なきゃということになるね(笑)。
青森の食材は、ワインにもぴたっと合うような仕立てにも活きるのだという提案がそこにありそうだけど、でもその前に、伝承料理のそのままを地のお酒でしみじみ呑りたいとも思っちゃう。
と、その青森に居を移して日夜、青森の、津軽の郷土料理に向き合っているtakapuが、
「津軽料理遺産」をリニューアル。一朝一夕には果せないプロジェクトと格闘しています。
素朴さの中にふんだんな魅力を含んだ伝承の料理たちは、ご飯とそのおかず・副菜であると当時にどうも小粋な酒肴にも見えてしまう(てへっ)。
呑めないtakapuだけど、津軽料理遺産とお酒との関わりについても、今度訊いてみよっと。
「Bois Vert」 港区西新橋1-13-4 B1 03-5157-5800
http://www.bois-vert.jp/
column/02646 @1,000