祇園から三条大橋を渡り、木屋町通りと高瀬川を経て、河原町通りへ出ようとするちょっと手前で何気なく路地に視線を送った。
微かに漂うトンコツの匂い。
気が付いたらもう足がその路地にとっくに踏み込んでいるのは、ラーメン好きの悲しい性。
あれほど呑んだ挙げ句のラーメンは控えようと誓ったのにぃ(笑)。
赤いテントに空色の壁。
ドア枠を縁取るようにレモン色が敷かれていて、路地に妖しいアバンギャルド。
店名も見つからなくて、思わず通り過ぎる。
ところが、その通り過ぎたのがある意味正解で、そこで路地へと導く看板で店名を知ることに。
その名を「あじと」。
ね、どっかで見知ったような気のする店名でしょ(笑)。
路地の隠れ家にヤンチャな主がいそうな気配に、似通ったノリを思うのです。
来た路地を引き返して、そのレモン色の枠の中へと挑みます。
混み合った店内の空気が不思議な高揚感を連れてくる。
お品書きが下がり壁のパネルに直接書いてあるのが、楽しくもアジトな感じ。
ひとクセありそうな大将に「白!」と告げました。
「白」は、正式には「昔ながらのラーメン」。
他には、売り切れ御免の「特製チャーシューメン」に、「あじと風肉味噌ラーメン」。「焼きラーメン」には、ヒマな時限定、職人技をみよ~ん、とある(笑)。
当店のスープは豚骨・鳥ガラ・豚脂を高温で乳化させたゼラチンたっぷり、とも書いてあるぞ。
「白」のドンブリがやってきました。
確かにそう呼びたくなるような白濁乳化具合のスープに刻み葱やチャーシューが浮かんでいます。
スープをひと口して、酔いで濁った脳裏が急にイキイキとする気分。
味蕾に鼻腔にコク旨な息吹を吹きかけてくれます。
麺が何も云わずしてバリ硬なのが、笑っちゃうほど妙に嬉しい。
いやぁ、こういうお店にたまたま出会えた”メッケチャッタ感”って、
いいなぁ。
おそらく女性ひとりではなかなか入り難いだろう路地の前衛基地「あじと」。
営業時間は、21時から翌朝6時。
6月のおすすめ「本気ラーメン黒」の、本気具合も気になります。
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「あじと」 京都市中京区河原町通三条下ル大黒町46-1 075-212-6999
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