庚申堂に突き当たった坂道から見上げる五重の塔。 塔を左にしながらやや右手に進めば、産寧坂へと至る石畳の道。 目的のリストランテは、そこを脇道に反れるように左に曲がり込んだところにあるのです。 落ち着いた一軒家の佇まい。 白い壁に示したサインがなければ、間違えた!と踵を返してしまいそうです。 予約の名を告げた時刻はなんと14時半前。 予約が取れないという状況に配慮して、ラストオーダー直前の予約を受けて、実質ランチタイムを延長してくれている、ということなのでしょう。 フロアは、手前のブロックも奥のエリアも客で埋まっています。 硝子越しの借景は、さっき見上げた五重の塔の屋根と深い緑だ。 PRANZO CONPLETO、本日のランチコースから軽い方の「A」をお願いします。 その夜のディナーと同じ素材を使った、おまかせの「スペシャルランチ」もできるそう。 グラスで白をと、「カドス’06」をいただいて和みながら、最初のお皿を待ちます。 やってきたのは、「桜エビのフリットを浮かべた新じゃがのヴィシソワーズと温泉卵」。大好きなヴィシソワーズの澄んで明瞭な美味しさにとろんとコク味を添える温泉卵。 硬質でなく、適度なふんわり感で香ばしさを寄せるフリットに組み合わせの妙。 ジャガイモのシャーベットのシャクシャクとした歯触りが軽快さを呼んできます。 彩り爽やかさと一緒に届いた透明なプレートは、 「香ばしいアナゴの炭火焼き、たっぷりの新鮮野菜の冷製蒸し煮」。 カリッと旨味を凝縮させた穴子の身の薫り。トマト、インゲン、絹さや、グリーンアスパラ、玉葱、ラディッシュ、セロリにオクラ、ういきょうなど。 Vサインのように二股になったスプラウトはなんのだろうと訊けば、空心菜のそれ。 へ~、であります(笑)。 続くパスタは、 「トロトロの茄子とリコッタチーズの軽いトマトソースのバヴェッティーネ、バジリコ風味」。粉の風味がフフンとする麺にリコッタのちょっと糸をひく。 茄子はもう形を失うほどに蕩けてる。 「鶏もも肉で巻いた3種類のお肉のやわらか煮、雑穀とうずら豆のクレマ」の3種のお肉とは、自家製ソーセージ、牛ほほ肉に豚肉。鶏皮のパキッと香り高い外周と巻かれた肉たちそれぞれが、それぞれの歯触りと脂の甘さを主張しながら、違和感なく纏まっている。その下にはそっと畑菜、そして雑穀のスープが敷かれていて、何気にお肉でリゾットも楽しんでる気分だ。 おすすめドルチェは、キャラメルとバナナのムース&ココナッツのシャーベット。 コーヒーをゆったり啜っていてふとみた腕時計で、もうオヤツの時間も過ぎているのに気が付いた(笑)。
見送ってくれるスタッフに2度会釈をして、再度振り返った「イル・ギオットーネ」。 延長戦ランチに席を用意してくれて、ありがとう。 今度は夜に再び、たっぷりと”食いしん坊”しにお邪魔したいとなぁと思います。 口関連記事:RISTORANTE 「イル ギオットーネ」 丸の内 il ghiottone(07年02月)
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