汐留のコンコースで開催されていたちょっとした展示会を覗いてから、烏森口より当て所なく新橋の路地へ。
小体な小料理屋をイメージしながら、
お店を求め散策します。
そのまま開発中の敷地に突き当たってしまい、踵を返して気になる看板の前に佇みました。
「おふくろの味 都川」とあって、「神奈川丹沢の味」とも書いてある。まるで当てずっぽうながら、二階への階段を辿ってみましょうか。
手造り感漲る木製看板を潜ればそこは、
雑然とした中に小さなL字のカウンターが置かれた店の中。
人懐っこい印象の女将さんが、「あら、いらっしゃい」的な気の置けない雰囲気で迎えてくれました。
とりあえず、もろきゅうとトマトの小皿で麦酒を。
「おかあさんがトガワさんなんです?」と訊くと、「いえいえ、あの、丹沢に拠点があって、川と都(みやこ)を結ぶというか、川の恵みを東京で提供できれば、なんてことで、ま、都川としたんです~」と女将さん。
へ~、ただ、典型的な丹沢の恵みの鮎はまだ解禁前なのが残念なところ。
鰻料理がオススメということで、はて丹沢の鰻?と思えば、それは愛知一色の産(笑)。
「じゃ、全部出して!」ということで焼かれた、「肝焼」「白焼」、そして「蒲焼」。
やっぱり肝の苦みはいいもんだよなぁと、濃いめの米焼酎をペロペロ。
しっとりした柔らかさと外周の香ばしさが楽しめる白焼きもなかなか。
ヅケとも呼ぶべき「かつおたたき」や「じゃこ天」に「水びょうざ」と、
呑兵衛心が判ってるのは女将サン!絶対イケル口だと相伴をお願いして話し込む。
そこで吃驚することが起きた。
なんとこちらの女将さん、勤務先の草創期を知る女性だと大判明。
その頃のOBの名前が出るわ、当時の様子が臨場感を持って聞けるはで大騒ぎ(笑)。
それにしてもなんたる奇遇!
新橋界隈の幾多のお店の中から、そんな縁のある女将サンのお店に飛び込むなんて。
壁の貼紙に「ジブエ料理も有ります」とあるのはきっと、ジビエのことだよねと訊けば、鹿肉があると云う。いいねいいねとお願いしたソテーには、澄んだ野生の香りと意外なほどに贅沢に含む柔らかな旨味。うんうん。
さらにやってくれちゃったのは、その鹿肉を使ったピザ。
鹿の香りが生地の香ばしさに包まれて、さらに引き立つあたりが、発見!ってな嬉しさを連れてくるンだ。
丹沢に太公望が構えるのだという、おふくろの味「都川」。
型のいい鮎が揃った夜あたりにまた、お邪魔したいな。
「都川」 港区新橋4-15-3 2F 03-3437-1090
column/02612