暖簾の先へと進むと硬い表情の男衆三人が仁王立ちで迎えます。顔立ちが和らいだところをみると怒っているわけではないのね(笑)。 六角形を成すような、フロア中央の大テーブルへ。 さて、他の更科とおよそ同じものをお願いしましょうか。
例によって、ふたつの小さな蕎麦徳利がやってきました。 片方の白い徳利には「から」と書いてある。 ということは、もう一方は甘めなつゆですね。
「さらしな」のせいろが到着。 つやつやとした肌合いをみせる白いそばがなんだかそそる。甘口のつゆにひたっと晒して啜る。 ほっほ~(笑)。内緒ですが、三店の中では一番、口元を滑り舌に触る感じが官能的。 澄んだ旨味を含む甘口つゆとの出会いも具合がよく、更科も捨てたもんじゃないと見直させる気概がある感じだ。
随分ボリュームのある「かき揚げ」だなぁと箸を伸ばすと、へ?となる。 およそ半分の嵩を構成していたのは、かき揚げ本体ではなく、なんと天かす。よくぞ、丁寧に載っけたね、って。 それにしても、どういう意図なんだか解らない。特に食べ方の指南もないしね。ううむ。
そしてもう一枚、せいろが届きます。 こちらは一転して、浅黒く野太い蕎麦が鎮座する「太打ち」だ。
ず、ずっ。もごもご。
挽きぐるみの田舎そばは好みなのだけれど、これは丸抜きではなくて、殻ごと挽いた粉で打った蕎麦らしく、如何せん余りにも啜り難い食べ難い。うううむ。通りに面した佇まいは、比べれば一番艶がある。 今のところ、看板の「さらしな」が○だった「更科堀井」を御三家の筆頭と考えておこうと思います。普通の「もり」もいいのかも。今度は、お酒もいただかないとね。
「総本家 更科堀井」本店 港区元麻布3-11-4 03-3403-3401 http://www.sarashina-horii.com/
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