落款のように印された”なぎのみ”の文字に、 へーそう読むのかと思ったその翌日早速、お邪魔しました。 引き戸の内側に下がっている萌葱色の暖簾を払います。
店内は、その暖簾の脇に仕切られた部屋がひとつあって、 奥には二人用のテーブルが並んでる。人数によって自在に並び替える立て付けなのでしょう。 壁には棚が続き、酒瓶やグラス・食器なんかが並んでいます。
店頭の黒板にあったように、ここ最近のランチメニューは、 「富士宮焼きそばセット」か「しらす丼セット」のいずれかとのこと。 先ずは、未だにご当地での試食叶わぬ富士宮焼きそばをいただきましょう。
グラスいっぱいの冷たい緑茶を嬉しく思いながら待っていると、 厨房の中から炒め音が聴こえてきた。たっぷりの魚粉を頂いた富士宮焼きそばの膳が届きました。
やっぱりこの削り粉がキモかぁと思いつつ、啜った麺はしっかり歯応え。 水分を余計に含ませないで解した感じの、柔じゃない気風がいい。 富士宮市内の製麺業者から仕入れているのでしょうか。ソースもばしゃばしゃせず、それでいてパサつくこともない。 細かい粒が所謂「肉かす」と思われる。 肉からラードを搾った後に残ったものを油で揚げたものらしい。 ホントに”滓(かす)”って感じはするものの、そこまで使い切る感じが健気であります。 これの風味が何気に富士宮焼きそばの味を下支えしているのかもしれません。
日を改めて、タイヤ屋さんの角をふたたび曲がる。 今度は、ランチメニューのもう一方、「しらす丼セット」が目的です。
届いたドンブリには、真っ正直に、しらすがたっぷり載っている。時季ゆえなのか、やや大きめの稚魚にも思えるしらす達。
流石に生しらすではないよなぁとちょっぴり想いつつ、 豪快に大口開けて、その下のご飯とともに喰らいます。うんうん、しらすの素朴な甘さがそのままたっぷし味わえて文句なし。 あ、匙でいただいた方が、よりその醍醐味が愉しめるかもしれません。
店頭の夜のお品書きのタイトルは、「おすすめ静岡郷土料理」。 「静岡おでん」に始まって、「黒はんぺん焼」や「桜海老のかき揚げ」などなどが並んでるのを眺めると、静岡の大衆居酒屋「多可能」の晩を思い出しました。
新富町に新規開店は、静岡由縁の家庭料理の店、その名も「椥の実(なぎのみ)」。訊けば、藤枝市ご出身の姉妹だという。 東銀座で「楓 木挽町」という店をやっていたが、 銀座松坂屋近くでやっている姉の店と同名でややこしいこともあって、 移転を機に店名を改めたそう。 旧店名が「楓」であったことから、木偏をつかった文字がよいと考える中、 妹さんの名前から”知”の文字に木偏を添えた「椥」の字に白羽の矢が当たったそう。 そして、椥の木は、縁起のよい木だと知り、店名に決めたのだそうだ。 成る程、椥(梛)の木の葉は、熊野神社などでは神木とされているようで、 神事に用いられる榊の葉にも似ているようにみえるもんね。 寒くなったら「静岡おでん」で「萩錦」あたりをいただくのも、きっとよいぞ。
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「椥の実」 中央区新富1-11-13 [Map] 03-6222-8343
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ブログ再開をお祝い申し上げます。数年前から、楽しく拝見しております。(^^)/
「椥の実」さんは、「楓 木挽町」さんが移転されてはじめられたのですね。「椥の実」さんの店の付近は時々通りますので、今度是非お邪魔してみます。
Re:バードさま
コメント、そして長く休止していたにもかかわらず覗いていただき、ありがとうございます。
はい、東銀座から移転してきたとお聞きしました。
なんとなく似ているなぁと思っていたらやっぱりご姉妹でした。
まずは富士宮焼きそばからですかね♪