印度カレー「中栄」で印度カレーに玉落ち合いがけ何気なくも魔性のカレー皿

nakaei列を成す魚がし横丁の4号館から9号館。
「磯野家」などが収まる10号館はほんのちょと離れているけれど、それは正門に向かって開いた位置にある。
市場正門と対角を成す位置にある門が、海幸門。
海幸門からの動線上にあるのが、魚がし横丁1号館。
経営者の移ったという「豊ちゃん」や「吉野家」1号店を収めた1号館は、4号館からの列からは、これまたちょいと離れた位置にある。
あれ?そふ云えば、2号館と3号館は一体何処にあるのでしょう?

そんなことを考えながら、
1号館前の荷捌きエリアにちょっとだけお邪魔する。nakaei01綺麗に並んだターレの先、
プラットホームの向こうに「岩佐寿司」のオレンジの暖簾に並んで、
印度カレー「中栄」のファサードが覗けます。

1号館の前にそこはかとなく漂うカレーの匂いに誘われる。nakaei02硝子越しに覗くコの字のカウンターは、
時に空席待ちを生んで賑わいます。

基本形の「印度カレー」は何度いただいたことでしょう。nakaei03nakaei04クセのないコク味と旨味を後押しするような過ぎない辛味がいい。
チャーシューの端っこを添えた、
「特製玉子焼き」をのっけたり、
別皿の「キャベツ」を添えてもらったりも気分次第だ。

偶には「野菜スープ」のカップを啜る。nakaei05セロリの香気がひと捻りの個性を示し、
カレーのコク味との対比をも思わせます。

これまた定番なのが「合いがけ」。
例えば「ビーフカレー」と「ハヤシライス」に、
「生卵」のトッピング。nakaei06nakaei08合いがけの両者の真ん中に収まったライス。
そのライスに刻んだスリットに生卵が隠れんぼ。
白味を含めた卵があちこちに踊らないようにする工夫なんだろね。

やや性質の異なるふたつの河の合流点を眺めるような、
そんな心象を抱かせるアイガケの接点がある。nakaei07右を掬って口に運び、次は左側を掬って口に運ぶ。
両者の甘さや風味の違いを愉しんだら次は、
甘めの方から一気果敢に攻め込んだりするのです。

少々肉々しい気分も交錯する時には、
「炙りチャーシュー」を奢る手もある。nakaei09腿肉でしょか。
だらしなく蕩けるよなチャーシューでなく、
しっかりした噛み応えと炙った香ばしさの中から、
ジワワっと旨味が滲む。
気風のいいチャーシューなのであります。

「みそ汁」を註文むなら”ギョクオチ”にするのも選択肢のひとつ。nakaei10味噌汁の温度が下がるけど、
半熟の玉子の黄身と味噌汁の取り合わせも何気に好きなのだ(笑)。

築地場内だもの魚介でなくちゃと断じる諸兄には、
それ相応のカレーが勿論用意されている。nakaei11その名も「築地魚河岸シーフードカレー」。
紅ズワイガニのものだという蟹爪がアクセント。
帆立に海老に烏賊に浅利の具が潜む。
まあでも、此処ではやっぱり基本形の「印度カレー」か、
やや甘い「ビーフカレー」がおススメです(笑)。

築地場内魚がし横丁1号館中央に印度カレー「中栄」がある。nakaei12何気ないフリしてるクセに、
思い出したら堪らず食べたくなる、そんな魔性を孕むカレー皿。
仲卸しの方々と思しきオッちゃん達が、
カウンターのあっちとこっちで奢り合いをしている光景によく出会う。
市場関係者の食堂としてもきちんと機能しているように思えて、
ちょっと嬉し愉しくなっちゃう瞬間だ。

「中栄」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁1号館 [Map] 03-3541-8749
http://www.nakaei.com/

column/03692

珈琲舘「純」でしっかり炒めの正しきナポリタンひと気少なき西那須野にて

jun那須と聞いて思い出すのは、ハンターマウンテンという名のスキー場。
あんまり天候が優れなくて、足許もベチャっとしたゲレンデの風景。
きっと避暑にもよい処だと思うのだけど、そふ云えば夏の行楽に訪れた記憶が浮かばない。
涼し気な温泉宿なんかあったりするのかしらん。

そんなこともふと思いながら降り立ったのは、
那須塩原からひとつ宇都宮寄りの西那須野。
着いてからおひるを済まそうと思いつつ、
微かに抱いていた杞憂が現実のものとなる。
例によって駅前にはなんにもないのでありまする。

はてさてと、そすい通りと呼ぶ通りを往くと、
煉瓦調の建物の脇に「珈琲」の文字が見える。jun01ランチをやってくれているかもと、
早足で近づきました(笑)。

柔和な笑顔の親爺さんに迎えられ、
窓辺のテーブル席へ。
早速眺めたメニューには、
期待通りの「生姜焼き」と「ナポリタン」の文字。

註文から間もなく聞こえてきた炒め音に耳を欹てる。
ぢゃっちゃっしゃっ、ぢゃっちゃっしゃっ。jun02よく鳴るナポリタンが、
その音からイメージする通りの麗しい姿でやってきました。

マッシュルームの縁の焦げ具合で、
炒め具合の手練が窺える。jun03ケチャップにどれだけ火を通すのかが、
ナポリタンの要諦のひとつなのだと、
ひとりブツブツ呟きます(笑)。

うんうん、しっかり炒めのシャツに飛ばない系。jun04粉チーズの助けを借りずとも美味しくいただけるのが、
正しいナポリタンなのでありますね。

西那須野駅正面のそすい通りに珈琲館「純」がある。jun05割と最近外装を改めたようで、
改装前はまた趣のある喫茶店だったのでありましょう。
喫茶店で「純」というとどうも連動して思い出すのが、
松本零士の「男おいどん」。
純喫茶「不純」という店が登場してたのです(笑)。

「純」
那須塩原市扇町6-17 [Map] 0287-36-1310
http://kohiyakata-jun.com/

column/03691

グリル「オーツカ」で生姜焼き定食ナポリスパの意外さと名物ハントンライスと

otsuka金沢の香林坊あたりで、おひる処の当てが外れて一瞬、途方に暮れる。
ラーメンフリークが時に体感するように、思いも寄らない臨時休業を図らずも確認してしまった時の驚きと落胆はなかなか馴れるものではありません。
臨時休業は勿論、ラーメン店だけの専売特許ではないので、他の飲食店にも当然あり得ることですものね。

香林坊の交叉点から開店前のおでん「菊一」の前を通り、
国道から一本裏手の道へと当て所もなく漂い歩く。
覗き込んだ横道に居酒屋や小料理屋風の看板を見付けて、
真昼間にして誘われるように(笑)、足を向けました。

そのまま雨上がりの横丁を往くと、
「洋食」と示すアクリルの看板が目に留まる。otsuka01otsuka02建物のシャッターの掠れた文字は、
「オーツカ料理学園」と読める。
料理学校開いているような洋食店なんて、
なんだか気になるじゃぁありませんか。

お店の正面に回り込んで、ショーケースを覗き込む。otsuka03ボードに書き込まれたメニューには、
「生姜焼定食」が目立つように囲みに飾られている。
あ、「ミートスパ」に並んで「ナポリスパ」もあるようです(笑)!

女将さんに招き入れられてから意外に思ったのは、
店内の各処にタレント・有名人の色紙が少なからず貼られていたこと。
なぁーんだ、有名店だったのかぁと合点しつつ、
左手奥の客間のテーブルへと腰を据えました。

ご註文はやっぱり「生姜焼定食」で。otsuka04豚ロースがこっくりとした生姜タレに絡めとられて、
これぞ、ゴハンがどんどんと進むヤツの典型か。
そして、何気に添えてくれた厚揚げの煮付けが和ませます。

生姜焼きだけやっつけてナポリタンを放置するなんて、
ナポちんに疎まれそうだと(笑)、
無理云って「ナポリスパ」の小盛りもお願いしてました。otsuka05なんの疑いもなく、そしてなんの根拠もなく、
しっかり炒め上がったナポリタンを待っていたら、
届いたお皿は、ナポリタンとは似ても似つかぬものでした……。
確かに”ナポリタン”ではなく”ナポリスパ”だもんね(汗)。

後日ふたたびの横丁の奥。
本当においしいので一度味わいください、と、
そう黒板に認めてあったのも気になって、
改めて硝子ケースを覗き込む。
ソースブルーテを基本に、
玉葱、牛乳、クリームで仕上げた美味しいクリームスープ、と、
解説がしてありました。

件のクリームスープをまずいただく。otsuka06何かを特筆するでもないけれど、
古からのレシピと丁寧なつくりの片鱗を思わせるひと皿でありました。

「生姜焼き定食」と並んで、
黒板メニューで□に囲んで強調されていたのが、
「ハントン」なる見慣れないフレーズ。otsuka07otsuka08ステンレスの楕円皿に載せられてやってきた「ハントン」は、
黄色と赤の艶やかな見栄え。
つまりは、ケチャップライスに魚フライを載せて、
半熟の玉子で覆い、ケチャップとタルタルで飾ったもの。
ハンガリーの「ハン」と仏語で鮪を意する「トン」が由来であるらしい。
片町にあった洋食店が発祥の地と云われていて、
場所柄からしても、その経緯を引き継ぐお店なのかもしれないな。

金沢の片町・香林坊の横丁奥に、
1957年(昭和32年)創業の洋食店 グリル「オーツカ」がある。otsuka09なかなかの人気店は、時に空席待ちの行列をつくる。
帰りがけにまた硝子ケースを覗き込んで、
「タンバルライス」ってなんぞやなんて考えていたら、
黒板の並びに置かれたメニューの文字が見付かった。
あれ?「ナポリタンスパゲッティー」って書いてある。
もしかして、過日いただいた「ナポリスパ」は、
ただ「ナポリタンスパゲッティー」を略しただけだったのか!?
いやいや、違うものだと思いたい(笑)。

「オーツカ」
金沢市片町2-9-15 [Map] 076-221-2646

column/03690

天ぷら「天房」で天麩羅定食穴子芝海老丼美しき赤身の限定鮪定食もございます

tenfusaどふいふ訳か、築地場内に足を運んでも、海鮮丼の店にはまったく食指が動かない。
そもそも魚がし横丁に海鮮丼の専門店が登場したのは、後発のことのような気もするしと思い至ると、それは「仲家」の印象があまりにも悪かったからそふいふことになっているのだと気が付いてそっと苦笑いする、なんてことを繰り返している(笑)。
刺身定食の方がいいに決まっているけれど、手軽に掻っ込む海鮮丼そのものに罪はない。

ずっと”うみさちもん”と読んでいた(恥)、
海幸門(かいこうもん)から1号館の前を通り抜ける。
この風景も遠からず見られなくなってしまうのかと、
ちょっと遠巻きに5号館から7号館辺りを眺めます。tenfusa01tenfusa02今日はそんなでもないかなぁと、
6号館前の通路の混み雑具合を覗き込む。
天ぷら「天房」の前にも空席を待つ人影がありました。

しばし待ってから女将さんに手招きされて、
壁に向かうカウンターの隅に席を得る。tenfusa03暖簾の内側から眺めるお向かいさんは、
築地ゴム長の元祖長靴専門店「伊藤ウロコ」の店先だ。

或る日には「天ぷら定食」。tenfusa04tenfusa05海老に芝海老、鱚に槍烏賊、獅子唐に海苔。
そこに稚鮎が加わる嬉しい時季もある。
求道的な揚げ口なんかではなく、
すっと馴染める揚げっ振りに和んでしまいます。

また或る日には、店先の貼紙を確かめてから「天丼」を。tenfusa06tenfusa07定食と同じく、海老に芝海老、鱚、
海苔に獅子唐が基本ラインで、
そこに帆立と鰯を添えてくれている感じ。
浸した汁は特段甘すぎることなくじわっと迫ります。

気が付けば一番多くいただいているのが「芝エビ穴子丼」。tenfusa08tenfusa09お約束通りに丼から食み出した穴子天を枕にして、
芝海老の天ぷらがズラズラっと並んだ画を壮観に思う。
海老の外殻の芳ばしき甘さがたっぷりと愉しめる、
そんなドンブリなのであります。

海老の身の甘さも堪能したけりゃ、
「大エビ天丼」という手がある。tenfusa10海老天の上に載せた海苔の天ぷらに一種の愛嬌を思います。

天麩羅専門店なのに!と語られていそうな、
「天房」定番にして限定メニューが「マグロ定食」。tenfusa11tenfusa12tenfusa13トロなんかで媚びることなき美しき鮪の赤身。
海鮮丼と比べるまでもなく、潔くも真っ当に旨い膳が此処にある。
そして、鰯の天麩羅がそっと添えられるのが、
天ぷら専門店の力みなき矜持なのでありましょう。

築地場内・魚がし横丁6号館のとば口にずっと構える天ぷら「天房」。tenfusa14店内の壁に豊洲市場での移転場所を示すフライヤーが貼られてた。
天ぷら「天房」は、「大和寿司」「富士見屋」と並んで、
青果棟の一階へと移るようです。
魚がし横丁の店々は、この一軒間口も魅力のひとつなのだけど、
豊洲ではどんな店構えになるのでしょうね。

「天房」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁6号館 [Map] 03-3547-6766

column/03689

自家焙煎の店「珈琲詩人」で五所川原の朝ナポリタン津軽鉄道の短い旅と立佞武多

coffeeshijinいつぞやの夏の朝。
何故だか青森は五所川原にいた。
青森空港に降り立って、空港バスで弘前に出て、弘前に行くなら勿論のこと「しまや」の女将さんとそのお惣菜たちを拝みに寄らないとなりません。
「早生の毛豆」で呑る瓶の麦酒から始めた一献は、期待通りの滋味豊かなものでありました。

鉄チャンでもないのに早起きしようと我が儘云って、
翌朝向かったのは津軽五所川原駅。coffeeshijin01coffeeshijin02駅名を示す看板の上には「風鈴列車」の文字。
ペパーミントグリーンのペンキをのせた桟の間から、
金木行きの切符を買い求めました。

跨線橋から線路を見下ろすと既に、
津軽鉄道の列車が待っている。coffeeshijin03coffeeshijin04ホームに降りてその顔を見ると、
人物のシルエットとともに「太宰」と認めた、
行先表示板が目に留まります。

ホームの脇に展示されていたのは、
1881年から1927年までの規格の変遷を示す、
津軽鉄道代々のレールが5本。coffeeshijin05coffeeshijin06その奥の車庫には、機関車が顔を覗かせています。

冬場の津軽鉄道と云えばストーブ列車!と、
ホームの反対側に停まっていた車両を硝子越しに覗き込む。coffeeshijin07あ、あった、ありました。
スルメも似合いそうなストーブが(笑)。

乗り込もうとする車輌の側面には、
塗料に浸食された「走れメロス」文字。coffeeshijin08coffeeshijin09都内の鉄道だってこんな厚紙の切符だったこと、
近頃の若けーもんは知らんヤツもいるだろなとオジサンは思う(笑)。

童心が先頭車両へと自らを駆り立てる。
運転席の脇にはなんと本棚があって、
当然のように太宰治全集が中心据えられている。coffeeshijin10coffeeshijin11社内はと云えば、”風鈴列車”のその名の通り、
幾つもの風鈴がチリリンと涼し気な音を鳴らしてる。
揺れ靡く短冊には俳句が認められていて、
ひとつひとつ読んでいる間にも、
ガタゴトと列車は進みます。

津軽五所川原から津軽飯詰、毘沙門を経て金木に向かう。coffeeshijin12coffeeshijin13朝の短い津軽鉄道の旅は、金木の駅で折り返して、
五所川原駅へと向かうのでありました。

小さな小さな津軽鉄道の旅のあと、
朝食にとお寄りしたのは、
五所川駅駅前の通りが小泊道と交わる交叉点。coffeeshijin16coffeeshijin17それは町のオヘソのような場所に建つ、
ちょろっと瀟洒な二階建ての喫茶店。
ピアノの背に凭れ掛かるようにコントラバスが置かれてる。
中央が吹き抜けていて、二階にも客席、個室があるようです。

「ナポリタン」のセットをお願いしました。coffeeshijin18油断するとシャツに飛ぶかもタイプですが、
よく炒めてくれている様子も伝わってくるナポリタン。
サラミもふんだんに参画させていて、うん、いいね。

五所川のオヘソともいえそうな交叉点に立地する、
自家製焙煎の喫茶店は、その名も「珈琲詩人」。coffeeshijin19創業は、1979年(昭和54年)のことであるらしい。
なかなか大箱の喫茶店は、町の便利な集会場でもあるよな気がします。
きっと時には演奏会も催しているんじゃないのかな。

そして「珈琲詩人」からも至近な場所にあるのが、「立佞武多の館」。coffeeshijin14coffeeshijin15威容を誇る「五所川原たちねぷた」を中心にして、
グルグルっと螺旋状の回廊で囲んでいて、
最長部からたっぷりとねぷたの迫力や表情を味わうことができるのです。
いつの日か、祭りのその時期にふたたび訪ねたい五所川原。
あ、ストーブ列車の頃にも行きたいなっと(笑)。

「珈琲詩人」
青森県五所川原市大町4‐18 [Map] 0173‐33‐1584
http://www.sizin.sakura.ne.jp/

column/03688

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