そのまま何気なく真っ直ぐ歩けばもう、 行き先はほとんど決まってる。それは、”昔懐かしい味 自家製ハヤシライス”の看板のある処。 路上のちょっと新しいスタンド看板が、 TX「モヤさま」登場を写真つきで紹介しています。
古びた扉をギイと開ければ、途端に安らぐ昭和の匂い。 壁には、何枚かの蒸気機関車の写真たち。メラミンのテーブルにセットした緑色の椅子。 所々補修しながら大事に使われています。
ある晩の注文は、 かのeatnapo王子も召し上がっておられた(笑)、「ナポリタン」。はいよ、ってな風情で応じてくれるお母さんが煽るフライパン。 こんなに間近にナポ炒めの音が聞けて眺められるお店は多くはないことでしょう。
着実な炒め音の成果が、
フライパンの絵柄とともに「なかよし」とマークしたお皿でやってくる。
中太の麺を纏うソースの濃密さは、 しっかり炒めとケチャップ以外に手許のデミソースもちょっと加えているよな気配も思わせる。 うんうん、お母さん、こってり旨いです。
別の夜には、鶏肉の部からその名も「ジャンボバター」。繊維にめり込ませるように歯の先を立てると、 醤油バターの風味が背中を押してくる。 ジャンボなボリュームも何気に難なく平らげてしまう、そんなお皿であります。
時にはそんな気分で、「オムライス」。たっぷり垂らしたケチャップの紅が艶かしい。 「ナポリタン」と同じく、しっかり炒めて濃密系のケチャップライスには、 ハムと玉葱の魅力が加勢して、お母さん、美味しいよ。
そしてやっぱり、看板の「ハヤシライス」も定番で。三日目のカレーよろしく、とっぷりと煮詰まった旨味で迫るノスタルジー。 フレッシュをくるりと回しかけるのがココのルール。 どこの洋食店のものでもない、「なかよし」の「ハヤシライス」がここにある。
やっぱりと云えば、 ショーケースでも堂々誘う「カキフライライス」も外せない。 なんだろ、そこそこ厚手の衣と小振りな牡蠣とにころんと一体感があって、 衣の芳ばしさでしっかり包み込む、そんな基本が正しいのでありますね。
気がつけば半世紀。 1960年9月創業のファミリーキッチン「なかよし」中延にあり。老舗でございます、なんて鯱張るところが一切ないのも「なかよし」のよいところ。 一時お休みしていたことがあって随分心配したけれど、 いつの間にか再開していてほっとした。 お母さん、元気でいてね。
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「なかよし」 品川区中延3-12-11 [Map] 03-3782-3230
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