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居酒屋「やまだや」で かきのみぞれ鍋に金目しゃぶしゃぶ
本願寺の脇を抜けて川端近くまで。そこには、店名から想像する赤ちょうちん系の居酒屋とは趣を違える「やまだや」さんの佇まいがありました。要所にさり気なくモダンな装いが施されていて、居心地のいい空間になっています。墨田区の地ビールだという「ヴィルゴ ホワイトビール」なんぞで口開き。さらりとした呑み口だ。まずは「穴子の煮おろし」。揚げ目のカリッと穴子の身のホックリがおろしの出汁味を纏っていて、煮おろしの醍醐味があって、いい。さらにおろしつながりの「かきのみぞれ鍋」を。大胆に使った大根おろしが、ちゅるんとした絶妙の煮え具合の牡蠣の身をより柔和にするかのようで、貪るように食べてしまう。今度は鍋つながりで「金目しゃぶしゃぶ」に。昆布を張った鍋に金目のアラの入った鍋が登場。アラが煮えたところで灰汁を除け、まずそれを綺麗に平らげてから、しゃぶしゃぶ、です。アラから出た旨味がしゃぶしゃぶする金目の身に芳醇さを増すようで、脂もとろりんとして、いやはや旨い。お酒はというと、鹿児島・志布志「千亀女」の麦のあとは、純米「神亀」をぬる燗で。そして岩手・川村酒造によるところの「よえもん」の中から特別純米を。熟成を経たシングルモルトを思わせるような濃密な力強さがあるんだ。それには、偶々いいタイミングで届いた「自家製トーフの味噌漬け」が、最高に合う。まったりとした濃い風味との組み合わせはもう、和食の領域から逸脱して陶然とさせる一瞬だ。「やまだやベーコン」は、定番おすすめ品。「秋田・岩もずく」で口元さっぱり。そして、一旦厨房に下げられた「金目しゃぶ」の鍋が雑炊となって戻ってきました。ずるずるずるずる。はぁ~、うまひ。ほろ酔い加減も手伝って、雪になろうかという寒い夜が温かいものになりました。
「やまだや」 中央区築地7-16-3 クラウン築地1F 03-3544-4789