荒天のため別の空港に行き先を変更するか、羽田引き返す可能性があります。
寒波が襲う青森へと向かう機内で、キャビンアテンダントのアナウンスはそう告げていました。
雪雲を抜けて真っ白い滑走路に降下したAB6機。
無事到着したブリッジからみる青森は吹雪だ。
その吹雪の中、青森にすっかり根を下ろしたtakapuが迎えてくれました。
凍てついた一本道を北へ上って辿り着いたのは、青森県庁の近く。
路地を覗けば、味のある風景。
サクサクと雪を踏み締めつつ歩みを進めて前にしたのは、「樽」と記す白い暖簾だ。
入って右手には一升瓶を収めた冷蔵庫。
経木に細かく書かれた品書きの上を「おお」「おー」「うぉー」と唸りながら右へ左へと視線を泳がせているところへ、お通しが届きました。
お通しなのに小皿が三つも。
「田酒」のグラスを脇に構えて、いざいざ(笑)。
虎模様の皮目をも魅せる生鯖に、ヒモもお酒を進ませる帆立、
大間ばかりが名を馳せているけれど、同じ海峡の、竜飛岬近くの三厩に上がる鮪もきっと引けを取らない。
細やかに整ったサシの肌理には黙るしか対処の術がありましぇん(笑)。
そして、これぞ幻の鮭と名高い、知床羅臼産の「鮭児」。
口の中に含んだ途端にすっと消えていくような脂はどこまでも澄んでいて、残り香のような旨みの余韻が続く。
うひゃひゃ、こりゃ堪らん(笑)。
「田酒」づくしでお酒をお願いしていたら、
これは如何と観音開きの化粧箱に入った純米大吟醸を薦めてくれた。
酒米の最右翼「山田錦」の母親にあたる「山田穂」で醸った一本と父親にあたる「渡船」で造った一本を仲良く組み合わせた、つまりは山田錦両親の酒。
呑み比べ、愉しそうとウキウキとしたのも束の間、あろうことが箱を倒して日本のうちの一本を倒し落として割ってしまった(泣)。
もう手に入らないという稀少な一本を床に吸わせてしまって、大将ほかお店の皆さん御免なさい。
パリっとした皮とそのすぐ裏に潜む脂が協演する「刺身用ときしらず焼き」をほじほじしては、またグラスをちびちび。
う~ん、いいなぁいいなぁ。
県庁近くの路地に潜む、青森魚介の魅力に満ち溢れた居酒屋「樽」。
土地のひとは勿論のこと、旅の者と聞けばより歓迎していくれる心意気が嬉しいところ。
青森の魅力を是非知って帰路についておくれ。
頼り甲斐のありそうな大将の表情には、そう書いてありました。
「樽」 青森市古川1-20-11[Map] 017-773-9955
column/02921



このお店、3種類の前菜の時点で一気に興奮させてくれるので、大好きなんです。ちょっと強面ですが、ものすごく温かい大将やおかみさん。やっぱり、青森っていいですなぁ…と、私も行くたびに感じます。
takapuさま
うん、みっつの小鉢お代わりして、それで呑むンでも全然いい(笑)。
大将は、強面というより頼りがいのある感じ。
温ったかく歓迎してくれているのが伝わるもんね。