宝町の、京橋のフレンチにして洋食屋と云えば、ご存知、レストラン「SAKAKI」。洋食屋バージョンのランチタイムには、開店前からの行列を作ることでも知られています。
そんな「SAKAKI」には特に、冬場のカキフライの時季に訪れることが多くて、気がついたらカキフライ以外のメニューを知らないなんてことになっていました。
今年も終いのカキフライを堪能した翌月のこと。
「SAKAKI」にも生姜焼きがあるのかと勇んで出掛けたものの、
そこだけしっかりと赤線が引かれて消されてる。
そのお皿はどうやら一回転目の前半に並んでいないとありつけないものらしいと知りました。
でもでも他にも気になるメニューばかりなのが、
「SAKAKI」のおひるライナップなのであります。
まずは、生姜焼きならぬ、
「瑞穂のいも豚のポークカツ」をお願いしました。
しっかり目揚げ色の衣に包まれた瑞穂のいも豚なる豚肉。
マッシュしたポテトにも付け合わせのサラダにも、
「SAKAKI」の矜持が何とはなしに漂っています。
いも豚は、単なる脂の甘さとは毛色の違う甘さを伝えてくる。
そんな味わいの濃さを愉しむようにするといいのかもしれません。
入口脇の会計カウンターの背面には、
銅を使ったオブジェが飾られている。
フライパンも覗く窓辺では、
寸胴のソースを掻き回すコックの姿も表現されています。
選んだお皿は「長崎産赤イサキのポワレ ブールブランソース」。
ブロックと呼んでもいいようなドドンとした量感のイサキは、
その身しっとりとして、パリッとさせた皮目も麗しい。
バターソースのたっぷり具合も心強いお皿であります。
アスパラのソテーにラタトゥイユも、いい脇役を演じてくれているね。
或るおひるには、
「瑞穂のいも豚バラ肉のトマトと白インゲン豆の煮込み」。
これまたドーンとバラ肉の塊がお皿の真ん中に鎮座する。
噛まずしてホロホロと蕩けるようないも豚のバラ肉は、
白インゲンとトマトとを煮込んだスープをソースとしていただく感じ。
そこいらのブロック肉に思うこってり感とは趣異なる美味しさです。
「エビフライ」かどちらか悩んで選んだのは、
「勝浦産穴子のフライ」。
お皿から当然のように食み出した穴子のフライは、
まだぴちぴちと揚げ音を立てていて、
天麩羅店のカウンターに居るよな気分が一瞬過ぎります(笑)。
夏のモノゆえか、穴子そのものの食べ口は軽妙で、
さっくりと喰らうところはとっても軽やか。
それでも大判のフライを食べ終える頃には、
しっかりとお腹の求めに応えてくれます。
そして、通ったやっとこ眼前にすることができたのが、
「瑞穂のいも豚のポークジンジャー」。
厚切り肉の表面を覆うソースの肌合いは、
粉を塗してソテーする様子が手に取るように判るもの。
確かな歯応えに続いて咀嚼をすれば、
「バラ肉の煮込み」や「カツ」でのそれと同じように、
瑞穂のいも豚独特のコクと旨味が存分に弾ける。
いや、こうして生姜焼きにするのがもっともそれが愉しめるような気もします。
付け合せは、もやしにたっぷりのマッシュポテト。
彩りは地味ながら、出色の生姜焼きは、
開店早々に売り切れとなる人気のお皿のひとつ。
すぐにメニューに赤鉛筆のラインで消されてしまうのに、
限定数量を増やす気配がないのはきっと、
何か訳でもあるに違いありません。
開店前の行列が恒例の、
レストラン「SAKAKI」のランチは骨太洋食店。
未だに夜の部を知らないのもなんだけど、
それはまた、機会を得てからと思い直すのも、
充実のランチで十分だと思ってしまうからでしょか。
充実のランチだからこそ、
夜も気になるものなのですけどね。
「SAKAKI」
中央区京橋2-12-12 サカキビル1F [Map] 03-3561-9676
http://www.r-sakaki.com/


