「熱いのでお気をつけくださいね」。 ふつふつと沸いて、 みるからに熱々の土鍋が湯気と一緒にやってきました。 じっくりとそして如何にも丁寧に仕込んだ表情のドミグラス。 繊細さをも思う味わいの襞が、折り重なるように舌の上をそよいでいく。 その一方で、しつこさとは違う力強さを食べ口の根っこに湛えていて、しみじみ。 玉葱を20日かけて煮込むらしいという話にも説得力を思っちゃう。 そのドミグラスに包まれ滲みた人参にじゃが芋はほっこりと。 そしてなにより角切りされた牛肉のほろほろと柔らかなこと。 お茶碗のお代わりをお願いすると、こっそり内緒話をするように「鍋に入れちゃってもいいですよ」と女将さん。 なんだか魂胆を見透かされたようで、あ、いや、やっちゃっていいですか(笑)。 では遠慮なく、っと鍋に残した肉片やソースをご飯に絡ませていただきます。思わず、うへへ、でありまする。 もう一回お茶碗をお代わりして、じゃこと芽カブの佃煮でお茶漬けしちゃう。 都合お茶碗三膳が、するっと入って満足満足。 お茶を啜りながら、お隣さんの「カツレツ」や「コロッケ」を凝視。ふむふむ(笑)。 お世話になった女将さんが、かつて数々の文豪たちにも愛されたという富永町にあった名洋食店「つぼさか」のお嬢さんだという。 “旦那”通いが似合う洋食「みしな」。夜は、予約のみの営業のようです。
「みしな」 京都市東山区二年坂畔 075-551-5561
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