
戦災の炎火から逃れた神田須田町。
手打ちそばの「まつや」や「神田やぶそば」。
鳥すき焼きの「ぼたん」やあんこう鍋の「いせ源」。
ちょっと行けば、洋食の「松栄亭」。
下町風情を残してくれている飲食店があって、ずっと気に掛かる界隈だ。
そんな須田町の一角。
「まつや」のところを万世橋の方へ斜めに入り、ちょうどカレー「トプカ」辺りで左手の路地を覗くと、暗がりを照らす灯りがある。

その灯りの主が、とんかつ「万平」です。

左手の壁のタイルにこんな貼り紙をみつけました。
「カキの季節になりました、岩手県広田湾米崎産」。
おお、この暖簾の向こうで、広田の牡蠣が待ってくれているようです。
店内は、4人が腰掛けられるベンチ椅子形式のテーブルが4卓。
テーブルも椅子も白木の造作で、それが柔らかな印象を与えてくれています。
まずはやっぱり(笑)、「カキフライ定食」。
厨房からの揚げ音が、じゃーぴちぴちっと聞こえてくる。
そしてその音は、ゆるやかに調子を上げていくます。
懐かしの洋食屋さん的にステンレスの楕円皿でそれは届く。
フライの数は、二の四の六個。

檸檬をささっと搾り、ふふっとしてからやおら、齧りつきます。
ああ、いい。
衣細やかなタイプで、牡蠣エキスの封じ込めに適ってる。


ほんのもう少し、迸るような旨みの弾けがあればと過度な求めをしてしまうけど、
それは過剰な期待というものでしょう。
そして、「万平」の牡蠣料理のもう一方の雄が、「カキバター焼き定食」。

つやつやと飴色にも思う、そそる景色に仕立てられた牡蠣のつぶ。
むほっと齧りつけば、ミネラルが昇華したような牡蠣の旨みとバター醤油の風味が渾然一体となって、堪らん感じ。
ご飯は勿論、いろんなお酒にぴたっと合ってしまう、きっと。


例えば、「新富 煉瓦亭」がそうであるように、
「カキフライ」にするかはたまた「カキバター焼き」にするかは、
今後も悩むことになりそうです(笑)。
神田須田町の路地裏にひっそり佇む、とんかつ・洋食の店「万平(まんぺい)」。


「ハンバーグ定食」などなど他のメニューも気になるので、
温かくなったらまた足を運んでみなくっちゃ。
オバちゃんに、なんで「万平」という店の名前なのか訊ねたら、
「あ、あのね、お店の誰かの名前となじゃなくってね、昔誰かがそうつけてくれたの」という意外と素っ気なくも不思議なお応え。
もしかしたら、語るに語れない物語があるのかもしれません。
口 関連記事:
洋食元祖「新富 煉瓦亭」で 超揚げ立てカキフライあぁ至福の時(11年02月)
「万平」
千代田区神田須田町1-11
[Map] 03-3251-4996
column/03088
カキフライ6個もついてくるなんてすごい~♪
近くのやぶそば、いせ源は家族でよく行きます。
今度寄ってみます~!
情緒があって素敵な界隈ですよね。
Re:油谷さま
なんか、あの界隈らしい洋食のお店なんです~。
最近「いせ源」に初めて寄りました。やぶそば、いせ源お得意なら、勝手知ったるところ。
是非~♪
はじめまして!
出挙と申します。
万平の牡蠣の大ファンでして
実は昨日も行ってしまいました
カキバタ焼きにビールは
欠かせませんね!
では、今後とも宜しくお願いいたします。
今日やまいちに行ったのは内緒です(笑)
Re:出挙さま
万平の牡蠣の大ファンということは、割とご近所にいらっしゃるということですね。
羨ましー♪
お安くないのが玉に瑕だけど、ビールにご飯に堪らんですよね。
「やまいち」のかきフライはいかがでした?