いつぞや、新京極から先斗町へと辿った夜。
木屋町通りへと高瀬川を渡ろうとするその角の処で「インデアン」という文字
を見つけました。
あれ?っと振り向けば「カレーの店」とあって、どこかで見たようなでもちょっと違うような、インデアンの横顔も目に留まる。
はて?あの「インデアン」は京都にもお店があるのかしらんと思いながら、すでに満杯のお腹をさすったのでした。
ここはまた来なくっちゃ(笑)。
ということで、再び遡る高瀬川。
京都の「インデアン」は、
半端な時間にも拘わらず、群青色の暖簾を提げていてくれました。
入って右手に丸い止まり木の並ぶカウンターと厨房があって、左手にテーブルが数卓というレイアウト。優しそうな女将さんが迎えてくれます。
基本は「ビーフ」か「チキン」か、それとも「ポーク」か。
はたまた「エビ」「コロッケ」、「トンカツ」に「ハンバーグ」。
悩んだ結論は、メニュー文末の一番の贅沢品「ミンチカツカレー」です。
女将さんが拵えてくれてる様子をぼんやり眺める。
そうするとこの光景には、若い兄ンちゃんも、ましてやキャピッとしたネーチャンも似合わない。そんな気がしてきました。
届いたお皿はすっごく意外。
円い皿と同心円にライスが平たく敷かれて、そこへさらさらの褐色がひたひたとして、その中央に鎮座するメンチカツは、見かけからして既に揚げ物としての主張を脱ぎ去っている。
これで結構辛かったりするパターンかなぁと少々慎重に掬ったスプーンを口に運ぶと、それは杞憂の辛さ控えめで、すすすっとスパイスの風味が広がる感じ。
例えばここにターメリックを使っちゃうとこの個性はだせないってことなのだろうなぁなんて考えながら、次々スプーンを動かす。
もう少し出汁のボディがしっかりしててもいいかなと思うけど、この感じって定番の中華そばが秘める懐かしさと同じ魅力があるかも、とも思う。
隠し味に醤油を使っているって噂は本当かもね。
スプーンを差し入れると、想定通りすっとその断面をみせるミンチカツ。
おほほ、でもね、メンチの中身がね、黄色いのですよー。
しっとりしたミンチの方にはちょっと違うベクトルのカレー風味を仕込んでいるなんてあたり、女将さん、なかなかニクイな~。
食べ終えてしみじみと満足の「インデアン」の「ミンチカツカレー」。
やっぱり思う素朴な疑問、大阪の「インデアン」とはなにか関連があるのかを帰り際に訊いてみた。
「たまに訊かれることあるのですけど、関係はないんです」と女将さん。
ま、食べれば違いは明らかだものね。
昭和35年創業とも云われる西木屋町の老舗カレー店「インデアン」。
外観の表情もいい味だしてます。
「インデアン」 京都市中京区西木屋町六角角山崎町236-6シャイン会館 075-231-0872
column/02606