それが何処にあるかというと恐らく、琵琶湖沿岸の何処かにあるのだろうと朧気に推測する。
それじゃあかんと改めて地図を眺めれば然り、琵琶湖の南西に位置するのが大津市。
何気なく地図を退いてみると、京都からも程近い。
調べてみるとなんと、JR琵琶湖線快速で京都から9分の距離にあるのが、大津駅なのでありますね。
大津駅から琵琶湖方面に向かってだらだらと下っていくと、
浜大津の駅に出る。その先の広い空が琵琶湖のそれ。
穏やかな冬の日の湖面にハクチョウらしき水鳥が、
呑気に浮かんでいました。
そんな大津港マリーナには、
琵琶湖汽船によるクルージングルートがあるという。訪れた時間に接岸していたのが、
優美な姿の外輪船MICHIGAN号。
船上からは生演奏の音が聞こえてきます。
港を離れてすぐのところにあるのが浜大津駅。まるで車両基地のような駅舎から滑り出てきたのが、
京阪の石山坂本線の車輌。
そして、ギュルルンと90度の円弧を描いて坂道に向かうのが、
同じ京阪の京津線。西近江路という街道の坂道をスルスルっと上り往く4両編成。
やっぱり路面電車って、いいよね(笑)。
ただ、路面を走るのは浜大津からひとつめの駅、
上栄町の手前までのこと。
そして、その先ではなんと路面電車転じて地下鉄になるのだ。
ちょうどお昼時。京阪京津線がその道の真ん中を走る、
西近江路の坂の途中で見付けた暖簾のひとつ。
見上げた看板には、うどん「麺せい」とありました。
晴天なるも放射冷却で冷え込んだ日和だったので、
店頭のお品書きですぐに決まったメニューは、
本日のサービス麺「鍋焼きうどん定食」であります。海老天一本が載り、中央に玉子を落とした、
どこぞのサンプルであるかのように正しき表情の鍋焼きうどんだ。
箸にリフトしたうどんそのものはというと、
これもまた極々スタンダードな装いのもの。地粉やふすまの気配なしにどこまでも白く、
そして、細くも太くもない。
例えば讃岐のそれのような腰付きで迫る素振りを感じさせないのは、
鍋焼きという仕様が故のことなのか。
かといって、大阪うどん、博多うどんに思うやわやわでもない、
そんなおうどんで。
でもね、とっても温まって、ちょっと汗掻いてしまいました。
京阪京津線が路面を走る西近江路沿いに、うどん「麺せい」がある。今日もきっと、
窓越しに京阪の空色と黄色が過ぎる気配を、
誰も気にも留めることなく、
いつものうどんを啜っていることと思います。
「麺せい」
滋賀県大津市中央1-6-15 [Map] 077-522-8021