放送大学の東京足立学習センターが併設された北千住の「学びピア21」の講堂へ、laraさん達による放送大学講座「フルートのさまざまなカタチvol.2」のリハーサルに顔を出す、なんてことがありました。
その足で何処かで一献と向かったのが、北千住西口と日光街道の間を結ぶアーケードから脇道に入り込んだ場所。
立ち呑み処「徳多和良」が目当てだったのだけど、ちょうどお盆の臨時休業にぶち当たる。
そんな経緯でお向かいの牛串煮込み「藤や」さんとの僥倖に恵まれることとなったのでありました。
初夏の侯、所用にて夕刻に北千住にいる。
こんなチャンスはなかなかないと早速、何時ぞやの小路を辿ります。「藤や」向かいの、ややセットバックしたビルに小さく「徳多和良」の行燈看板が点っていました。
今宵は営業しているようです(笑)。
店前には、今まさに暖簾の奥へと雪崩れ込もうとしているひと達がいる。決して広くない店内ゆえ、大人数での来店やすっかり出来上がっての来店はお断りの「徳多和良」。
はてさて、居場所はあるでしょか。
運よくすんなりと奥寄りのカウンターに陣取ることができての「レーベンブロイ」。意外と吞める機会の少ないミュンヘン式ビールで口開けだ。
その日の日付の入ったお品書きからまずは「小肌」。300円均一から400円、500円、600円均一までに分かれていてとっても判り易いけど、結局やっぱりあれやこれやと悩ませるお品書きだ(笑)。
棚の向こうでオヤジさんが立ち動く様子を眺めながら「羽太(はた)湯引き」のお皿を受け取る。あくまで淡白な口当たりの中にじわっと旨味が揺らめく上品な身。
クルンと丸まった皮目もまたオツでございます。
はじかみ抱えた「赤魚くんせい干し」もまた皮と皮の際の脂とほろっと甘いその身が旨い。抜いた水分と入れ代わりに薫香がほんのり漂って、なかなかの佳品であります。
こりゃ日本酒だなと想いつつも「徳多和良」オリジナルという「徳ハイ」も気になって。ウィスキーと梅酒のブレンドによるサワーということで、成る程、その通りの味がする。
でもこれならワタシは、すっきり角ハイの方が好みです(笑)。
「目板かれい唐揚げ」は意外と優しげな揚げ色。これで縁側部分はどうかなと試しに齧ってみると、ポリポリいただく感じではない。
ふんわりとした目板の白身を愉しむノリの唐揚げだ。
ガンガンと注文を入れるお隣の女史の手許に届いた「甘海老タレ焼」が旨そうなので、真似して注文する。鮨軍艦に載る甘海老とは違って、まずは立派なサイズなのが頼もしい。
バリバリと頭から齧り付けば、タレの海老の殻とが互いに芳ばしさを発揮して、その中から味噌の旨みが追い駆けてくる。
なはは、こりゃ美味いや。
ここ辺りで、普通酒「本菊泉」から吟醸古酒の「吉の川」に切り替える。
比べちゃいけない、ぐっとコクを増す旨味。
でも、アル添の呑み口も嫌いではありません。
そこへお願いしていた「白魚玉子とじ」の器が届く。出汁のしっかり利いた汁にふわふわっと優しき白魚の甘味と溶き玉子の和らぎがいい。
ここでちょうど3年程前の想ひ出も振り返ってみる。暖簾が切り替わるのは、いつ頃のことなのでしょう。
あったら註文むの「しめさば」は、じっくり〆たよな佇まい。時季により脂のノリにより〆方も変わってくるのでしょうね。
シャッキリ歯触りと出汁とともに味わう「京水菜と油揚げ煮浸し」や芳ばしさが嬉しい「いわしのカレー風味揚げ」。
そうかと思えば「牛ロース」や「つくね」といった串料理もあれこれいただきました。
北千住の気の利いた立ち呑み処として夙に知られた、
割烹くずし「徳多和良」。
きっといつ訪ねても混み合っている人気店には、季節毎に、出来れば早い時間帯にお邪魔したい。
お隣女史やさらにお隣の常連さんによると元々は町屋にお店があったらしい「徳多和良」。
(立ち呑みだけど)長っ尻を避け、一時間ほどの滞在を目途にしておく方がよろしいようです。
あ、そうそう、laraさん達による放送大学講座のvol.3がこの晩夏にあるようですよ。
「徳多和良」
足立区千住2-12 [Map] 03-3870-7824