
日本一のけやき並木と謳われる、
浦和所沢バイパスを西進する国道463号線は、
航空公園の前まで来る頃には、
旧来の片側一車線の道路になる。
国道は、そのまま西武新宿線のガードを潜って、
峰の坂上に向かって急坂を辿り、
その先でカーブを描いて宮本町の交叉点に至る。
そのカーブが右曲がりする左手正面に、
「手打そば」の看板が見つかります。
その看板の主は、御免蕎麦司(ごめんそばし)「本むら庵」。

何処かで聞き覚え、見覚えがあるかもしれません。
からからっと引き戸を引くと、左手に蕎麦打ち部屋が硝子で仕切ってあり、
タイミングがよければその様子を覗けそう。

テーブル囲む囲炉裏には、炭が熾きていて鉄瓶が掛けられています。

捲るお品書きは、小ざっぱり。
見開きに、「せいろそば」から「なめこそば」まで14品目ほど。
うどんの文字も一部にみられます。
素朴に「せいろ」を所望する。

二枚に奢ってしまおうか、悩みに悩んで(笑)、
大盛りでお願いしました。
ほんの今しがた、冷水を切ったばかりの表情をする蕎麦は、
仄かに萌黄色を帯びて、透明感のある。

此方では、北海道ないしは東北の最高級の玄蕎麦を仕入れ、
自ら石取り、精表、籾すりまで行って、店内の石臼で製粉するという。
それらを手元でやることは、当然労力と時間の掛かること。
伊達や酔狂でそうしている訳では、きっとありません。
つゆは、辛過ぎることもない、出汁のしっかり香る江戸前のつゆ。

そのお猪口にちょんとつけて、啜る蕎麦。
粉の風味と甘みが一瞬、過ぎる。
挽き立て打ち立ての鮮度は、美味しい蕎麦の秘訣でありますね。
峰の坂上交叉点、宮本町交叉点近くに構える御免蕎麦司、所沢「本むら庵」。

訊けば、ご存知、荻窪「本むら庵」の暖簾分けだそう。
成る程、御免蕎麦司の銘も看板や箸袋の書体も荻窪本店と同じに映る。
家紋は違えども、建物の設えは荻窪を彷彿とさせるもの。
六本木の「HONMURA AN」なき今では、他に本流の店を知りません。
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「本むら庵」
所沢市宮本町1-17-26 [Map] 04-2922-0445
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